REPORT●森本太郎(MORIMOTO Taro) PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/神村 聖(KAMIMURA Tadashi)
さて、本稿の主役であるCX-8について、少々、前段の話をしよう。マツダはこれまで、MPV、プレマシー、ビアンテなど、数々のミニバンをラインナップしてきたが、いずれも生産を終了。新型モデルを開発しないことを明らかにしてきた。マツダが目指す走りはスライドドア車では実現できないというのがその理由。エモーショナルなスタイリングにとことんこだわるマツダだから、箱型のミニバンでは新しいマツダ・デザインを表現できない、という想いもあっただろう。その一方、ミニバン市場が少しずつ減少していくなか、事実上の国内専用車となるミニバンカテゴリーで、トヨタ、ホンダ、日産と勝負していくのは得策ではない、という判断もあっただろう。プレマシーは良く走るミニバンだったし、MPVは歴史あるブランドで、もったいないと感じたものだったが、いま思うとその判断は間違っていなかったのかもしれない。
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マツダは、ミニバン開発を止める決断をするとともに、3列シート車を求める人への受け皿として、CX-8を用意した。ミニバンのユーザーをそんなふうに都合良く誘導できるのかな? とも感じたものだが、当時のCX-8開発陣のみならず、新型CR-Vの開発関係者までもが、次のように語っている。「ミニバンの広さが必ずしも必要ではなくなった方、とくに女性や奥様方から“生活感のある箱型ミニバンはちょっと”という声が聞かれるのは事実です。3列シートSUVに需要があることは間違いありません」。SUVは現在人気ナンバーワンカテゴリーであり、そのバリエーションのひとつとして、3列シート車にいま注目が集まっているのは本当のようだ。ではなぜ、あらためてCX-8に注目なのか。
1.他の3列SUVに比べボディが大きく、3列目をゆったり使える。
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2.パワートレーン(エンジン)に優位性。
3.内容を考えるとコストパフォーマンスに優れた価格。
CX-8のみ、ライバル車と比べてボディが4.9mと大きいこともあって、どんなユーザーにもこれがベスト、というわけではないが、ミニバンから移行したい3列シート思考のユーザーにとって、なかなかにコストバリューに優れた一台であることは間違いないだろう。実際に3列目を使用する頻度が高くないとしても、たまに友人を乗せるときや、子どもが日によっては3列目に座ってみたりと、あればあったで“使える”のが3列目というもの。SUVでもこれを選べるクルマが増えてきたことも朗報である。