8月に行われたメディア向けの撮影会でトリッカーと久しぶりに対面した筆者は、その軽さと取り回しの良さ、優秀な足つき性を再確認。トリッカーがデビューした10年以上前の記憶が蘇ってきた。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
初代トリッカーがデビューしたのは2004年。当時のどのカテゴリーにも属さない新ジャンルモデルの投入とあって大きな話題と期待を集めた。イメージの原点には当時アメリカで流行っていたエクストリームスポーツにヒントを得て、バイクを使った離れ業を披露するアクションライディングに適した軽量かつコンパクトなボディ設計を採用した。
もちろん競技専用車ではなく、そこからインスパイアされたストリートバイクである。デビュー当時のレポートを担当した筆者は「オシャレな都会派SUV!?」と表現したのを記憶している。
スマートさが際立つフォルムは、斬新なスタイリング。1330mmのホイールベースと当初120 kg(最新モデルは127㎏)の車重はまるで125㏄に跨がるような感覚で誰にも気軽な存在がとても魅力的だった。当初のシート高は790mm。(最新モデルは810 mm)だが、極めてスリムな車体設計のおかげで足つき性は抜群。ステップの上に立つスタンディングスタイルも取りやすい柔軟なライディングポジションが与えられていた。
小柄なライダーにもとても親しみやすく入門機としてもお薦めできるうえ、腕に覚えのあるライダーにとっては、例えばウイリーやアクセルターン等の技の練習&披露にもってこいのバイクだったわけだ。
セローと共通の250cc単気筒エンジンは歯切れの良い噴き上がりと低速での粘り強さを発揮。走る場所を選ばない柔軟な出力特性を誇るのが印象的。市街地をスイスイ駆け抜けるエクスプレスムーバーとしても、その扱いやすさはとにかく優秀だったのである。
……と、初代モデルの話を振り返ったが、そんなトリッカーが復活するというのだから嬉しい限りである。今回のモデルチェンジによって、あらたにキャニスターを装着等。排出ガスがクリーンなものとしたのである。エンジンはもちろん今回もセローと同じで空冷4ストロークSOHC2 バルブ。最高出力は20PSと突出した数値ではないが、軽量級のトリッカーならば、不足はないと思われる。ただスペック上からはは、ギヤ比の関係で常用速度域でのエンジンの回転数が高めと読み取れて、少し気になるところではあるが、元々スロットルレスポンスに優れ、頻繁なシフト操作を必要としないイージーな乗り味なので、もしかしたら気にするほどではないかもしれない。
何より特筆すべきは、セローより約10万円も安い価格設定。税込み46万7640円は大きな魅力と感じた。
認定型式/原動機打刻型式: 2BK-DG32J/G3J9E
全長×全幅×全高: 1,980mm×800mm×1,145mm
シート高: 810mm
軸間距離: 1,330mm
最低地上高: 280mm
車両重量: 127kg
燃料消費率*1:
・国土交通省届出値 定地燃費値*2: 45.2km/L(60km/h) 2 名乗車時
・WMTC モード値(クラス)*3 : 38.7km/L(クラス 2 サブクラス 2-1)1名乗車時
原動機種類: 空冷・4 ストローク・SOHC・2 バルブ
気筒数配列: 単気筒
総排気量: 249cm³
内径×行程: 74.0mm×58.0mm
圧縮比: 9.7:1
最高出力: 14kW(20PS)/7,500r/min
最大トルク: 20N・m(2.1kgf・m)/6,000r/min
始動方式: セルフ式
潤滑方式: ウェットサンプ
エンジンオイル容量: 1.40L
燃料タンク容量: 7.0L (無鉛レギュラーガソリン指定)
燃料供給方式: フューエルインジェクション 点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式: 12V, 6.0Ah(10HR)/YTZ7S
1次減速比/2次減速比: 3.083 (74/24)/3.000 (45/15)
クラッチ形式: 湿式, 多板
変速装置/変速方式 : 常時噛合式5 速/リターン式
変速比:
1速 2.846
2速 1.812
3速 1.318
4速 1.035
5速 0.821
フレーム形式: セミダブルクレードル
キャスター/トレール: 25°10′/92mm
タイヤサイズ(前/後): 80/100-19M/C 49P/120/90-16M/C 63P
(前後チューブタイプ)
制動装置形式(前/後): 油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後): テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ: ハロゲンバルブ/12V, 60/55W×1
*1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。
使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態 などの諸条件により異なります。
*2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。
*3:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。