新型が普及するにつれて、同時に盛りあがりを感じさせるのが中古車の世界だ。初代の970型パナメーラのデビューは2009年。発売当初はリーマンショックに端を発する世界的大不況のあおりを受け、さらに日本では2011年の東日本大震災も手伝って、カイエンがデビューしたときほどの爆発的普及は感じられなかった。それでも地道に販売台数を伸ばして、約7年間の現役時代をまっとうした。それらの個体は、魅力的な中古車となって市場に並んでいる。971型への移行に伴って、その台数はますます増加するはずだ。現ユーザーの乗り換えが期待されるし、また正規販売店のデモカーも徐々に認定中古車として市場に投入されている。今、970型パナメーラは、とても面白い状況にあると言える。
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用途や価格帯で選べる、豊富なラインアップ!
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モータージャーナリスト 中三川大地のイチオシ!
個人的には2012年に投入されたGTSが魅力的に映る。これからの時代、V8こそ存続しても、4.8ℓもの大排気量を自然吸気のV8で味わえる新車など絶滅危惧種になるはずだ。それを今なら、新車とほぼ変わらぬ安心感で愉しむことができる。車種を問わず新車のフレッシュさは時間とともに衰えるが、「ポルシェ製V8自然吸気エンジン」という存在価値は未来永劫続く。
もともとポルシェは自社の信頼耐久性に絶対的な自信を持つ。それを実感するユーザーも多いはずだ。たとえば認定中古車をみると、認定中古車になりえる基準が初年度登録から9年、走行距離20万kmと実に幅広い。そうした制度を前にしたら、多少の時間や距離など些細なものと思えてくる。新型のフレッシュさ、なによりその性能に魅かれる気持ちはありつつも、そこから一歩距離を置いて身の丈にあった高性能な4ドアグランツーリスモ(スポーツカー)を欲するのなら、970型パナメーラ、なかなか魅力的な選択肢である。