思い通りに真っ直ぐに走り、リニアな操舵応答性によってクラストップレベルの危険回避性能と快適な乗り心地の両立を実現した新型インプレッサ。定評ある設計技術をさらに進化させたボディにサウンドや振動特性を徹底的に見直した直噴エンジンや、ステップ制御を盛り込みレシオカバレッジを拡大した新リニアトロニックを組み合わせることでクラスの基準を再定義するに相応しい、高い走行性能が生まれた。

取り回し性を考慮したサイズ

全長は45㎜、ホイールベースは25㎜、そして全幅は35㎜と先代から少しづつ大きくなったが、たとえばすれ違い時に気になるミラーtoミラーは先代と同じサイズをキープし、国内の使用環境での実用性を考慮している。

セダンのパッケージング

フロントセクションやホイールベースは5ドアハッチバックのSPORTと同じで、トランクルームを備えている分リヤオーバーハングが165㎜長くなり、全長は4625㎜に。美しいデザインも特徴だ。

インストゥルメントパネル

ドライバー正面に視認しやすいメーターを配置し、センター部やや高めにグラフィカルな情報提供を担うマルチファンクションディスプレイを配置。ピラー周辺の視界は広く確保されている。

より広くなった後席空間

足元の余裕を先代からさらに拡大し、加えて前席シートレール形状を工夫して足入れ性を向上させるなどして、快適度はより高められた。またクッション形状からも質感の高さが伝わってくる。

快適な座り心地が疲れを防ぐ

シートバックはしっかりと身体を支える立体的な構造で、座面も内部構造や厚みを吟味し、長時間での運転でも疲れにくい特性を得た。またシートベルトは、衝突時に腰が前方に移動しないようベルトを保持する「ロッキングタング」を新たに採用している。

見たい部分がしっかり確認できる優れた視界

写真はSPORTの後方視界。後退時や車線変更時に、ドライバーが確認したい部分が見えるようにリヤクォーターウインドウを設定し、ピラー形状を最適化することで死角を極力、低減している。

ゴルフバッグを真横に積める使い勝手に優れた荷室

開口部の幅を広げ、大きく重い荷物を縦ではなく横置きできるようにするなど、こだわりの設計を実施。ゴルフバッグがこのように真横に置けるので、SPORTでも視界を遮らず3個が積める。

スバルグローバルプラットフォーム(SGP)

2025年までを見据えた、次世代プラットフォームとして開発されたのがこのスバルグローバルプラットフォームだ。スバル史上最高レベルの総合性能進化を遂げたと自負し、感性に響く動的質感と、世界最高水準の安全性能を実現している。

各部の剛性を大幅に高めた新たな骨格

先代比で1.7〜2倍にまで高められた車体/シャシー各部剛性や重心の低下によって、ドライバーの意思に忠実な高い操舵応答性を獲得。操舵時の遊びが少なく修正操舵が減るために、極めて高い直進安定性を得た。

高張力鋼板の使用部位

ホットプレス材の使用範囲の拡大などによって、過度に重量を増すことなく衝突エネルギー吸収率を先代比で1.4倍にまでアップ。さらなる高強度化や材料置換を視野に入れることで、2025年時点でも世界最高水準の衝突安全性能を実現できるポテンシャルを持つ。

衝突エネルギーの伝達経路比較

先代と比較して、部材の屈曲点を滑らかにつなぐスムーズなフレームワークが分かる。ロードパスを多重化することで、衝突時のエネルギーの吸収率を大きく拡大した。

剛性の連続性を向上

車体の捩り剛性は先代と比較して1.7倍にまで高められた。それだけでなく、荷重の増加に応じて捩り量が急に増えないように車体剛性の連続性を重視し、ハンドリングの違和感を抑えている。

構造用接着剤の使用部位

フロアパネルとサイドメンバーの結合部位などには、新たに構造用接着剤を使う製法を用いている。生産設備の見直しが必要となる大きな変化だが、性能向上のためにスバルは採用を決断した。

骨格結合部の強化を重視した設計

プラットフォームとボディ上屋やサイドシルとの結合部分には、インナーパネルを用いた構造や骨格のつながりを強化した形状を採用。さらに荷重がかかるパネルには大小様々なビードを加えることで変形を抑制した。

センタートンネル周辺の構造

床下フレームのうち、写真で紫色で示されている部分には、高い強度を備えたホットプレス材を採用した。またセンタートンネルの左右をつなぐガセットを取り付け、局部剛性をより高めている。

全車種の骨格をひとつの設計思想で実現

SGPはインプレッサだけでなく、スバルすべての車種に合わせて柔軟に対応できることを想定。さらにガソリンエンジン車だけではなく、ハイブリッド車や将来の電気自動車への対応も視野に入れている。

FB20型2.0ℓ水平対向4気筒エンジン

スバル第3世代のボクサーユニットであるFB型を新たに直噴化し、高圧縮比化することでレスポンスをアップ。扱いやすく楽しめるエンジン特性と、さらなる低燃費を実現した。各部の見直しで振動や騒音も抑えられ、従来より上質さがアップしている。

排気量(㏄):1995


種類・シリンダー数:水平対向4気筒・縦置き


弁機構:DOHC 16バルブ


ボア×ストローク(㎜):84.0×90.0


圧縮比:12.5


最高出力(kW[㎰]/rpm):113[154]/6000


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):196[20.0]/4000


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量(ℓ):50

ガス流動の変更による性能向上

吸気マニフォールド内部にされているTGV(タンブルジェネレーションバルブ)は今回、低負荷時に内側の経路を使うように変更。シリンダー内のタンブル(縦渦)が高まり燃焼効率がアップした。

ブロック各部の構造の見直し

オイルパンのアッパー部はXリブを太くすることで剛性を高め、パーツ全体では0.3㎏軽量化。またロッカーカバーには中央部に新たに固定点を追加し振動による騒音を抑えている。

直噴インジェクター

従来のポート噴射からシリンダー内への直噴へと変更することで、圧縮比は10.5から12.5まで高められた。最高出力は4㎰アップし、より軽快で気持ちよく吹け上がる特性を実現した。

可変バルブタイミング機構

吸気/排気の両方に、カムタイミング可変機構AVCS(アクティブバルブコントロールシステム)を備える。吸気側は進角/遅角の両制御が可能な中間ロック式を採用した。

EGRクーラーの改良

再循環させる排気ガスの温度を下げるEGRクーラーは写真のカットモデルで分かるとおり今回、フィン形状を見直して冷却機能をアップ。EGR率を高めることで、燃費を向上させた。

FB16型1.6ℓ水平対向4気筒エンジン

直噴ではなくポート噴射を継承しているが、圧縮比を10.5から11.0にアップ。最高出力/最大トルクは先代数値をキープし走りの楽しさは変えずに、燃費性能を高めた。

排気量(㏄):1599


種類・シリンダー数:水平対向4気筒・縦置き


弁機構:DOHC 16バルブ


ボア×ストローク(㎜):78.8×82.0


圧縮比:11.0


最高出力(kW[㎰]/rpm):85[115]/6200


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):148[15.1]/3600


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量(ℓ):50

新型リニアトロニック

一般的なベルトではなくチェーンを用いた独自のCVTであるリニアトロニックは、各部の軽量化と変速比幅のワイド化を実施。また全車にステップ変速制御とマニュアル7速モードを備えた。

チェーン変更で変速比幅を拡大

下側が新型のCVTチェーンで、チェーンピッチが従来のものから約10%小さくなっている。この結果、チェーン巻きかけ径の小径化が可能となり、変速比幅の拡大と打音の低減が実現した。

新設定のEGRクーラー

今回の改良で1.6ℓエンジンも新たにEGRクーラーを追加。2.0ℓエンジンと共用の高効率タイプで、ノッキング耐力を高め圧縮比アップに貢献している。

トルクコンバーターの軽量化

全体を小型化し構造を見直すことで、この部分だけで実に6.8㎏もの軽量化を実現。イナーシャ(慣性モーメント)は約58%低減され、走行性能/燃費に貢献している。

フロントデフの構造変更

上の写真の手前側が新型のフロントデフ。リングギヤとの結合部を従来はボルトで締結していたが、今回は溶接による締結に変更することで部品を減らし、約1㎏の重量低減を実現した。

ダブルウイッシュボーン式リヤサスペンション

形式自体は先代と同じだが、サブフレーム構造の見直しなどでサスの横剛性を大きく向上させた。アライメント変化の適正化により、より自然な運転フィーリングも得ている。

ストラット式フロントサスペンション

サス取り付け部やエンジンマウント取り付け部の剛性を高め、突起を乗り越える際などの振動収束時間を短縮。マスオフセット量の低減と合わせて快適な乗り心地を実現した。

リヤスタビライザーの取り付け

一般的にはサブフレームに締結されるリヤスタビライザーをボディ直付けに変更。サブフレームブッシュの影響を受けないのでロール量をより抑えられる。生産性は悪化するが性能を重視し採用した。

フロントサスのブレース

サスペンション下部、オレンジで塗装されている車体後方へ伸びる板状のパーツが新設された補強ブレース。車体フロント側の横曲げ剛性が大きく向上し操舵フィーリングが高められた。

アルミ製となったナックル

サスペンションとハブを結ぶナックルは、新型インプレッサでは前後ともアルミ製となった。スチール製に比べて軽量化が可能となり、ばね下重量の低減を実現している。

クイックなステアリングレシオ

微少な操舵でも正確に反応するので修正操舵が減り、13対1というスポーツカー並みのレシオを採用しても優れた直進性を確保。また突然の回避操作にもクルマが素早く反応してくれる。

ステアリング操舵感の向上

ステアリングギヤボックスの機構部とパワーステアリングの制御を見直し、左右の操舵時のフィーリングの違いや手応えの違和感を大きく減少。クラスの常識を越えた上質な感覚を与えてくれる。

全車に標準装備されるアイサイト

ステレオカメラによって前方の対象物との距離を検知するアイサイトは、最新のバージョン3を採用。プリクラッシュブレーキだけでなく、全車速クルーズコントロールなど多彩な機能を有する。

歩行者保護エアバッグ

国産車として初めて、衝突時の歩行者頭部への衝撃を緩和するエアバッグを採用。衝突を検知するとピラー根元やバルクヘッド周辺など車体の硬いパーツを覆うように展開する。

歩行者保護エアバッグのセンサー

フロントバンパーとバンパービームの間にシリコンチューブが設置されており、事故の際の衝撃をチューブ端の圧力センサー(左の写真)で検知するとエアバッグを展開する。

ステアリング連動ヘッドランプ

交差点やコーナーでステアリング操作に連動してライトユニットが動き、進行方向の先を照射して夜間走行時の安全性を高める。グレード別に標準装備またはオプション設定される。

ハイビームアシスト

ステレオカメラによって前方の光を検知し、対向車などの存在に応じてハイビーム/ロービームを自動的に切り替える。アドバンスドセイフティパッケージとしてオプション設定だ。

後側方警戒支援システム

車両後方の運転者からの死角を走行している車両を検知し、ドアミラーに内蔵されたLEDインジケーターや警報音で注意を促す。こちらもアドバンスドセイフティパッケージに含まれる装備だ。

アクティブ・トルク・ベクタリング

コーナー内輪に軽くブレーキを掛けることで、外輪側の駆動力を相対的に増し旋回性能を高め、コーナリング性能を向上させる。最上級グレー ドの「2.0i-S EyeSight」に標準装備。


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ドライビングインプレッション


ライバル車比較試乗


開発ストーリー


メカニズム詳密解説


デザインインタビュー


使い勝手徹底チェック


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情報提供元: MotorFan
記事名:「 スバル・インプレッサのメカニズムを徹底解説!