このクルマはアウディが示す未来の高性能スポーツカーのビジョンで、コンセプトの策定はアウディの高性能スポーツカーを製作するAudi Sport GmbHが担当。デザインはカリフォルニア州のマリブに新設されたデザインスタジオの作品だ。
サイズは全長4.53m、全幅2m、全高1.15mで、ホイールベースは2.70m。
目指したのは究極のドライビンマシンで、自動運転の機能はない。フロントに1基、リヤに2基のモーターを搭載して、フロントには150kW(204ps)、リヤには350kW(476ps)の出力が供給される。最高出力はトータル500kW(680ps)で、ブーストモードでは570kWに達するという。最大トルクは830Nm(84.6kgm)で、、0-100km/h加速は2秒未満という速さだ。
バッテリーは水冷式の全個体電池で、95kWhの容量を持つ。800Vの急速充電に対応し、約15分で充電が完了するという。満充電での航続距離はWLTPサイクルで500km以上が可能だ。アウディワイヤレスチャージング(AWC)にも対応しており、フロアに内蔵されたコイルから非接触での充電ができる。軽量な全個体電池の採用やカーボンとアルミ、複合材を多用したボディにより、重量は1550kg未満に抑えられているという。
乗員は2名だが、インナーモノコックシェルに組み込まれた運転席は横にスライドが可能で、サーキットなどを走るときはレーシングカーのようなセンターコクピットとすることができる。これはステアリングやペダル類を全てバイワイヤとすることで可能となったシステムだ。これは1台で左ハンドルにも右ハンドルにも変更できるというメリットももたらしている。
アグレッシブなデザインは、リヤに向かってなだらかに傾斜するルーフラインが特徴。リヤウインドウはほぼ垂直で、まるでシューティングブレークのようなフォルムだ。このデザインのおかげで、PB18 e-tronは470Lという、スポーツカーとしては恐ろしく広いラゲッジスペースを確保している。
また、六角形のシングルフレームグリルから取り入れたエアはそのままボンネットを通って排出され、ダウンフォースを生み出す。この大きく開けられたボンネット開口部は、ドライバーがそこを通して路面を確認できるという効果もあるという。
サスペンションはフロントにプッシュロッド式、リヤにはプルロッド式を採用。ショックアブソーバーはいずれもマグネティックライド式のアダプティブダンパーを装着。タイヤはフロントが275/35、リヤが315/30サイズでホイールは22インチ。ブレーキは19インチのカーボンコンポジットとなる。
電気自動車の開発を進めているアウディは、2018年9月に初の市販電気自動車となるモデルを発表予定。このPB18 e-tronは近い将来のR8を示唆するモデルかもしれない。ちなみにPB18 e-tronのPBはペブルビーチ、18という数字はLMP1のR18 e-tronから付けられたという。