小さくて軽く、高負荷高荷重に耐えるサスペンションを備え頑強なボディを誇り、ドライバーの操作に対する反応が素直で明快。これが軽トラックの性質である。残念ながらとろけるような官能的サウンドを発するとか目を奪うような流麗なボディといった要素は備えていないが(いや俺の軽トラには備わっているぞというご意見、大歓迎です)。
2009年12月に登場。縦置きパワートレイン・ミッドシップのRWD/AWD。ホイールベースは1900mm。セミキャブタイプからキャブオーバータイプに戻った経緯を持ち、後述のキャリイも同じ道をたどっている。
2013年8月に登場。縦置きパワートレインのRWD/AWD。ホイールベースは1905mm。車重は最軽量車で680kg。アルトで話題をさらったAGSはキャリイへの搭載が先だった。
2014年9月に登場。縦置きパワートレインのRWD/AWD。ホイールベースは1900mm。車重は最軽量車で740kg。軽トラックで早くも4速ATを搭載しているのがトピックである。キャブ後端を延長した「ジャンボ」を設定し、人気をさらっている。ブラック塗色を用意したのもトピックである。
1999年2月に登場。横置きパワートレインをリヤマウントし、RWD/AWDとする。その特異な構造から農道のポルシェと呼び称された(ちなみにアクティは「畦道のNSX」)。「サンバーでないと運べん」という熱烈な顧客を支え続け、とくに赤帽での勇姿をご存じの方も少なくないはず。惜しまれつつ、2012年に生産を終了した。
ああスポーツカーだなあ、いまおれ運転を楽しんでいるなあ──というとき、アナタはクルマのどの性能に感銘を受けているか。絶対的な速度の高さだろうか。いや違う。だったら新幹線乗車中にもスポーツ感を満喫しているはず。きっと、加減速時の加速度の変化と旋回時の一体感と手応えではないだろうか。自分の操作に対する応答性の高い反応、これこそがスポーツカーの醍醐味だろうと想像する。
軽トラは信じられないくらいの過積載に対応するためのサスペンション設計、フレーム構造による頑強な躯体、ほぼワンスペックといっても過言ではないタイヤ/ホイールサイズ、余計な機能を搭載しない(コスト面から搭載できない)プレーンなシステム構成、いずれをとってもスポーツカーそのものという作りなのである。
働くクルマだからといって素っ気ないだけではない。いろいろなバリエーションがそろっているのも近年の軽トラの魅力のひとつだ。上に掲げたサンバーの名称は「WR BLUE」である。コレ、欲しくならないスバリストがいるのだろうか。案の定、あっという間に完売したのである。
筆者は日産の商用車全ラインアップ試乗会でNT100クリッパーに乗り、心底感動した。走る曲がる止まるのいずれもが、自分で操作しているという感触に満ちあふれているのだ。とくにステアリングについては無用に旋回を繰り返したくなるくらいのフィーリングで、この簡素なシステムでこんなに感動するステアリングだったら、これまでいろいろ乗ってきた重厚長大なEPSの数々はなんだったんだろうと考えさせられてしまったくらい。もちろん振動騒音には普通車に比べて難はあるのは間違いないが、でもスポーツカーだってNVには目をつむるでしょう。
ぜひ、今度のお休みにはお近くのホームセンターで長尺物を購入して無料レンタルの軽トラを存分に転がしてみてほしい。クルマ好きのアナタならきっと気に入るはずだ。
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