ビートルとMINIが復活したからには、この2台に比肩する実績と人気を持つ500の復活が望まれたのも当然だろう。2004年にデザインコンセプトが発表された後、2007年に欧州デビュー。日本上陸は08年に開始され、以来好調なセールスを続けながら10年を経過している。この間、16年にフェイスリフトを行なったものの全体のイメージは踏襲され、息の長いモデルになっているのも特筆ポイント。
この「息の長い」というのがチンクエチェントをおすすめしたい理由のひとつ。頻繁にモデルチェンジを行なうと、途端に前モデルが陳腐化してしまうが、チンクエチェントは「変わらない」ことで新鮮味を保つ。完成されたデザインに小手先のテコ入れは不要なのである。とはいえ他人と同じは嫌だ!という層に応えるため、写真のチンクエチェント・トロピカーレのように毎年趣向を凝らした特別仕様車がリリースされているのはうれしい。
もちろん、中身は最新のテクノロジーが逐次投入されている。エンジンは1.2L直列4気筒と、0.9L直列2気筒ターボの2種類をラインアップ。特に後者の通称”ツインエア”は燃費に優れるという実用性はむろんだが、走っていると一生懸命にエンジンが働いている感があって、NUOVA 500に通ずる小動物感がなんとも言えない。また、ご先祖と同じ2気筒というのが懐古派を泣かせる。
ボディラインアップはハードトップの他にソフトトップを採用する500Cがあり、NUOVA 500のイメージをさらに色濃く継承している。ソフトトップを開けて身を乗り出せば、きっとルパン三世気分を味わうことができるだろう。
走ってナンボのアバルトはどうか?