近年、吟醸酒や大吟醸酒の需要が高まっており、全国の酒造会社が商品化に力を入れている。大吟醸酒造りでは、香りが高く淡麗な味わいに仕上げるため米の中心部だけを残した高度精白米を用いるが、洗米・浸漬工程において水を吸うスピードが速く、作業条件を判断する上で吸水特性が非常に重要な指標となる。この工程での水分量は、蒸米、麹づくりなど以降の工程での仕上がりに大きな影響を与え、ひいては酒の出来栄えを左右する。
今回開発した客観的な評価手法の活用により、特に精緻な判断や操作が求められる大吟醸酒の高品質化が期待できる。酒造り職人である杜氏や蔵人が減少傾向にある中で、科学技術による技能伝承の支援にもつながる成果となった。
今後、伏見酒造組合と大阪ガスは、新手法を酒造りに活用するとともに、酒米の育種や栽培への活用、さらには新たな評価手法の開発など、引き続き共同で取り組みを進め、高品質な日本酒造りへの支援に努めていく。