大嶋社長は自らステアリングを握り、これまでタイムトライアル競技をはじめ多くのコンペティションの場でトライと検証を重ねながら、ジムニー専用のパーツを開発・販売してきた。
7月14~15日に岩手県の岩手山焼走り国際交流村で開催されている「ジムニー祭り」では、新型ジムニーのデモカーを展示するだけでなく、同時開催されていた「ジムニースーパートライアルチャンピオンシップ」にさっそく参戦。そのポテンシャルを競技のなかで確認した。
そんなハイブリッジファーストの大嶋社長に、ハイブリッジファーストが考える新型ジムニーのカスタマイズやポテンシャルについて、競技走行直後に伺った。
--今回実施した、新型ジムニーへのカスタマイズメニューを教えてください。
大嶋「まずは、足回りですね。このタイヤを履くための理想的な車高ということで、3cmくらいアップしています。それだけではなく、アームの強化を行なっています。
また、車高上げると(新型ジムニーは)プロペラシャフトとメンバーが当たるので、新しいメンバーを作りました。サスペンションについては、(旧型の)JB23とは車重が若干違うので、JB23と同じコイルを使って前後左右バランスを考えた状態で、『きちんと』車高アップできるかというと上がりませんでした。やはり専用コイルが必要になってくると思います。今回は、うちにあるコイルで合わせてきただけですが、実際に新型用を販売するときには専用コイルを作ると思います。
--下を覗くとマフラーなどが変わっていることがわかります。
大嶋「オリジナルのマフラーも作ってきました。音量的にも静かめなものを作ったので、あとは認証を受けて製品化しようと思っています。
また、前後駆動力をしっかりかけてやるために、LSDを前後組んできました(フロントはハイブリッジファーストオリジナルセッティングのOS技研製・リアはハイブリッジファーストオリジナルセッティングのクスコ製)。後期から登場しているブレーキLSDとちょっと喧嘩するかもしれませんが、今のところなにも問題は出ていません。ホイールもうちのオリジナルです。16インチで5.5J。オフセットは+20です。
--シートなども替わっていますね。
「ドライビングポジション関連ですね。レカロシートとMOMO製のステアリング。ハンドルボスも見つけました。ペダルも変更しました。
--エンジンや制御系はいかがですか?
大嶋「エンジンは、とりあえず今の段階で可能なちょいごまかし系のミニコンと呼ばれるものと、スロットルコントローラーを装着しています。ミニコンとスロットルコントローラーは、すでに製品化できるかなと思っています」
--初めてトライアルを走ってみての感想はいかがでしたか?
大嶋「正直、全然だめです。いくらかトライはしてきていますが、クルマもトライアルには遅すぎます。電子制御スロットルが良くないですね。急発進しないように制御されていますから、クラッチを蹴ったりアクセルをバーンと踏んでも急発進してくれない。今後、これでタイムを出そうと思うと、いろいろと頑張っていかないといけないですね。
そして、一番の問題は、(現状では)ABSが解除できません。JB23では可能だったABSの解除方法を行なうと、チェックランプが5つぐらい点灯して電動パワステも効かなくなります。これはちょっと問題ですね。これは、競技を行ううえでの最大の課題かもしれません。電気的なものというのは一番難しいんです」
--一般のユーザーさんにとっては、現状の分析ではいかがでしょう。
「普通に街中を乗るのはいいですし、軽い坂道程度はら全然問題ないと思いますよ。ただ、パワーを求める走りや急な坂道を好むような方には、ノーマルではちょっと遅すぎですね。エンジンチューニングは進めていかないといけないと思っています。高速道路も5速ホールドでは絶対に走れないですね。オートクルーズも厳しいかもしれません」
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7月14日(土)~15日(日)に開催のジムニー祭りにはブースも出展し、大嶋社長みずから店頭に立っているので、新型ジムニーのチューニングについて気になる方は、ぜひ直接、質問をしてみるといいだろう。