今回設立した連携研究ラボは、産総研の多様で高度な技術シーズとUACJの研究開発ポテンシャルを結合させることで、アルミニウム先端技術開発を推進するだけでなく、既存の技術課題に対する新たなアプローチや新規技術探索を通してアルミニウム産業の発展に貢献することを目指す。
1. 名称: UACJ-産総研 アルミニウム先端技術連携研究ラボ
2. 場所: 産総研 中部センター(名古屋市)
3. 研究リーダー: 連携研究ラボ長 尾村 直紀(産総研 構造材料研究部門)
ラボの設立により、産総研の幅広い技術シーズとUACJの戦略が結合することで、環境負荷低減が最重要課題となる時代のアルミニウム先端技術開発とアルミニウム産業発展に貢献していく。
【用語の説明】
連携研究ラボ
企業のニーズに、より特化した研究開発を実施するため、その企業を「パートナー企業」と呼び、パートナー企業名を冠した連携研究ラボ(冠ラボ)を産総研内に設置している。パートナー企業は研究者・研究資金などを、産総研は研究者・研究設備・知的財産などの研究資源を提供し、パートナー企業からの出向研究者と産総研からの研究者が共同で研究開発に取り組んでいる。
熱伝導率
物質内における熱の伝わりやすさを表す物性値。物質内に温度差がある時、高温側から低温側に熱が移動する。その現象を熱伝導といい、その熱の移動しやすさを表すのが熱伝導率である。熱伝導率の値が大きいほど熱が伝わりやすく、アルミニウムは金属の中では銀・銅・金に次ぐ4番目に高い値を有している。
比強度
物質の強さを表す指標の一つ。物質の強度をその物質の密度で割った値。比強度が大きい材料ほど、同じ重量でより大きな力を有すことになり、軽量化効果が大きくなる。そのため、輸送機器分野などでは比強度の大きな材料が望まれる。鉄に比べ約1/3の密度であるアルミニウムは、潜在的に優れた比強度を有している。
酸素バリア特性
酸素バリア性能は、材料中を透過する酸素の量で表される"酸素透過速度"(24時間に1m2を透過する酸素の量)で表され、酸素透過速度が小さい=酸素透過量が少ない=酸素バリア性が良好となる。酸素の透過が非常に少ない事は、包装によって、薬品、食品などを酸化による劣化から守る上で、非常に重要な性質になる。アルミニウム(箔(はく))は酸素の透過速度が非常に小さく、自由なデザインに包装できる素材としては、ほぼ完璧な密閉性を確保できる非常に優れた酸素バリア特性を示す材料である。