そんな中で登場したのが、日本名セリカXXだったのだ。北米進出も踏まえて、フェアレディZの競合車として捉えられがちだが、果たしてそうだったのか。
ベースとなった二代目セリカは、初代同様にクーペとリフトバックをラインナップする。このリフトバックとは、ハッチバックのことだがトヨタは独自の世界観を表現して”リフトバック”と名乗っていた。XXはこのリフトバックのフロントセクションを130mm延長することで誕生した。
デザインはともにトヨタのカリフォルニアのデザインセンターであるCALTY(キャルティ)で、このデザインセンターが立ち上げられ製品として最初の仕事となった。
面白いのは作り分けの見事さで共通部品を多用しながら、スポーツ性を明確にするセリカに対して、XXはラグジュアリーさをしっかりと表現できている点だ。明確に異なるのはヘッドライト、リヤコンビランプ、そしてハッチゲートの造形。これらによってロングノーズのXXは、よりしっとりとした大人のGTをも演出できた。
このセリカXXは、発表の前年の第22回東京モーターショーで、コンセプトカーとして紹介されていた。ラグジュアリークルーザーとして、大きなGTが日本でどのように受け止められるかのリサーチだっただろうが、フロントの造形はほぼ生産型であり、その印象についても調査したものと思われる。
しかし見事なのは、リヤセクションを改造してリフトバックを感じさせないことで、この時点では何をベースとしているのか全く分からないことだ。XXだということは今だからこそわかる話で、全くブランニューのモデルという感じがしていたのではないだろうか。(歴代セリカXX/スープラのすべて 5/26発売 より)