実際のところ、従来型に比べると全方位的にポテンシャルも高められている。ライポジはやや前傾かつ全体的にコンパクトになり、特にニーグリップ部分はシート幅が30mmもスリムになったおかげでホールド感が高まり、シートは肉厚化しているのに足着き性もさらに向上させるなど、細部もしっかり作り込んできている。
国内仕様は37ps(海外仕様は39ps)に抑えられているとはいえ、高回転域でのパワーは明らかに上乗せされていて、13,000rpm超までストレスなく伸び切る上昇感は新型ならではだ。クランクマスが20%も低減された上に、ダウンドラフト吸気などにより充填効率が高められたこともあり、エンジンのレスポンス自体が軽快かつ力強くなっている。加えて従来型に見られた低中速でのトルクの谷が解消されたおかげで、信号ダッシュでもガッツが出てきた。
ちなみに気になるライバル比較についてもひと言。直接ライバルのCBR250RRに比べると低中速トルクでは一歩及ばないが、軽快な車体と素直なハンドリング、伸びのある高回転パワーを生かせばサーキットでもイイ勝負ができそう。街乗りでもすべてがカチッとしているCBRより気軽に乗れる気がする。また、R25はパワーとハンドリングのバランスが素晴らしく、パッと乗ってすぐに乗りこなせるスポーティさが真骨頂。極低速から扱いやすくライポジも快適で、その意味ではニンジャ250とガチ勝負になるのでは。結論としては、絶対性能ではCBRが優位。バランスの良さと扱いやすさではR25と接近戦だが、作りのグレード感と新しさではニンジャが一歩リードと言った感じか。ということで、クラス最高峰レベルのオールラウンドな走りの性能と、カワサキらしいアグレッシブなデザインが好きな人はニンジャ250をおすすめしたい。
■ニンジャ250(KRT Edition)主要諸元■
全長×全幅×全高:1,990mm×710mm×1,125mm
軸間距離:1,370mm
最低地上高:145mm
シート高:795mm
キャスター/トレール:24.3°/ 90mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列2気筒/DOHC4バルブ
総排気量:248cc
内径×行程/圧縮比:62.0mm×41.2mm/11.6:1
最高出力:27kW(37PS)/12,500rpm
最大トルク:23N・m(2.3kgm)/10,000rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:2.0L
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
一次減速比/二次減速比:3.068(89/29)/2.857(40/14)
フレーム形式:トレリス
懸架方式:
(前)テレスコピック(インナーチューブ径φ41)
(後)スイングアーム
タイヤサイズ:
(前)110/70-17M/C 54H
(後)140/70-17M/C 66H
ホイールサイズ :
(前)17M/C×MT3.00
(後)17M/C×MT4.00
ブレーキ形式:
(前)シングルディスク 310mm(外径)
(後)シングルディスク 220mm(外径)
ステアリングアングル(左/右):35°/ 35°
車両重量:166kg
燃料タンク容量:14L
乗車定員:2名
最小回転半径:2.5m
本体価格:629,640円(キャンディプラズマブルー)
640,440円(パッションレッド×メタリックフラットスパークブラック)
640,440円(KRT Edition・ライムグリーン×エボニー)
本名、佐川健太郎。モーターサイクルジャーナリスト、MFJ公認インストラクター、ライディングアカデミー東京校長など多岐に渡って活躍。守備範囲は原付バイクから大排気量車まで広い。