テンセントは日本では聞きなれないかもしれないが、中国版のLINEであるウイチャットを展開した企業だ。
そしてこのたび、第一汽車(FAW)はこの北京モーターショーにおいて、バイドゥと手を組むと発表した。このバイドゥは中国市場シェア7割を占めるといわれる検索エンジン「百度」を運営する企業。この中国インターネット3大企業は、そのそれぞれが得意分野を持ち、さらなる発展を続けている。
現在の車では急速にIT化、AI化が大きなテーマとなってきているが、情報ネットワークの確保とともに、情報ネットワークをビジネスの足がかりとして確保するためにはインターネットでの決済が行なえることが重要。物品の購入ホテルやレストランの予約ばかりでなく、ガソリンスタンドや駐車場、有料道路の決済などが期待される。
その点で、自動車メーカーがどこと協業するのかは非常に重要な問題だ。その中で、第一汽車も明確な協業を表明したことになる。
第一汽車は中国の自動車メーカーのトップ5にも属するといわれる大企業。かつては政府御用達の高級セダンである初代の「赤旗」を製造したメーカーでもあり、現在ではトヨタ、VW、マツダなどとの合弁企業を擁している。
しかし第一汽車は合弁企業だけではなく自主ブランドも生産しているが、そちらの現在の状況は芳しくなく、テコ入れが望まれてもいる段階だ。
その第一弾となるのが、ブランドの明確化。高級車の赤旗(こちらは現状ではトヨタとも協業しトヨタブランドを出さずに赤旗の複数の車種を開発)、そして一般車ブランド、商用車の3つの柱を明確にしたところ。さらなる注目すべき発表となるのが、今回のバイドゥとの協業ということだ。
前述の通り中国の主要インターネット企業は3つだが、主要自動車メーカーはおおよそ10企業程度とみられるが、総自動車メーカーは100社程度ともいわれる。さらにEVの発展にも併せて新興自動車メーカーは増加しているだけに、今後通信分野での共同歩調を取る自動車メーカーも多数現れるとみられ、どこと組むのかが中国の自動車メーカーの勢力地図にも大きな影響を与えることになるだろう。
さらにいえば、日本の自動車メーカーは量産モデルとしてこうしたIT化がまだまだ出来ていないともいえるのが現状。欧米もまだまだその点では動きが鈍い。そこにはインフラの整備といった点も必須で、進みにくい事情はある。しかし、そこを強引に進んでしまうのが中国。もはや中国車をコピー大国や、真似の車とこき下ろしている時代ではなく、電脳化という点においては、先に行かれてしまいそうなことを実感するべき時代に入ったといえるだろう。