スポーツカーもしくはスポーツサルーンというイメージが強いプレミアムブランドゆえ、
ミドルクラスSUVのF-PACEはまだしも、コンパクトSUVを謳うE-PACEには
いまひとつピンとこない人も多いかも知れない。
だがしかし実際に乗ってみると、これまた疑う余地のない“JAGUAR”だったわけで……。
TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
どこから見ても「背を高くしたF-TYPE」
ジャガーのSUVと聞いて、いまひとつピンと来ないな、と感じている人は少なくないだろう。ジャガーと言えばスポーツカーかスポーツサルーンだし、たとえスポーツカーブランドがSUVを手がけることが珍しくない世の中になったとはいえ、ジャガーの同グループ内には「プレミアムSUVの王者」ランドローバーがあるのだから、わざわざSUVを作る必要はないのではないか。筆者もそう考えていたひとりである。
そんな外野の雑音をジャガーは渾身の作「F-PACE」で見事に吹き飛ばしたわけだが、今度はコンパクトSUVを出すと聞いて、またしてもクエスチョンマークが頭に浮かび上がってきた。いくらコンパクトSUVが世界的に急成長しているカテゴリーだとはいえ、ジャガーはプレミアムブランドなんだから手を出さなくてもいいのではないか、と。
だがそんな疑問も、E-PACEの実物を目の当たりにした瞬間に杞憂だったと判明した。だってこれ、そのまんまF-TYPEではないか。ヘッドランプやテールランプはF-TYPEのパーツをそのまま流用したのかと思うくらい同じイメージだし、身を屈めたような全体のシルエットや盛り上がったフェンダーなど、どこを取っても英国製スポーツカーのそれだ。
着座位置を高くし、5名乗れるようにしたスポーツカー。それがE-PACEだ。便宜上、コンパクトSUVという言葉を使わざるを得なかったというだけなのだろう。
実際、サイズはそれほどコンパクトではない。全長が4410mmなのはいいとしても、全幅は1900mmもあるから、少なくとも日本ではコンパクトとは言い難い。
「なんでここ最近のヨーロッパ車はこんなに幅が広いの? ヨーロッパだって道は狭いじゃない」って不思議に思う人も多いだろうけれど、結局のところヨーロッパの旧市街などの狭い道はたいてい一方通行になっているから、すれ違いにそれほど気を遣わないというのが実情なのだ。また、路上駐車が許容されている交通状況下では、ボディ幅が狭いことよりも全長が短いことによる恩恵のほうが大きい。
さらに言うと、広い全幅のおかげで前輪の切れ角が増え、最小回転半径は意外と小さかったりもする。ちなみにE-PACEの最小回転半径は5.7mだ。
コクピット然としたインテリアもまさにスポーツカー
ジェントルに走っていても、どことなくスポーティ
ジャガー E-PACE R-DYNAMIC SE 2.0L P250
全長×全幅×全高:4410×1900×1650mm ホイールベース:2680mm 車両重量:1890kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1995cc ボア×ストローク:83.0×92.2mm 最高出力:183kW(249ps)/5500rpm 最大トルク:365Nm/1300-4500rpm トランスミッション:9速AT サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇインテグラルリンクストラット ブレーキ:ⒻⓇベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:ⒻⓇ235/55R19 車両価格:650万円
「世界の自動車オールアルバム 2018」4月28日(土)発売!
主要メーカーはもちろん、少量生産モデルや日本未導入ブランドなど、全世界48ヵ国、261ブランドを完全網羅! アフリカ、東南アジア、東欧、中東、南米などなど、日本ではなかなかお目にかかることのできない国々のメーカーも満載されています。世界のすべてのクルマがこの一冊に! 定価1852円+税