この技術では、ポリロタキサンの分子設計に加え、繊維表面をポリロタキサンとの親和性が高くなるよう設計することで、繊維表面に高濃度のポリロタキサンを選択的に配置することに成功し、変形時に受けた力を繊維表面で「いなす」ことによって、繊維強化プラスチックのもつ高剛性、高強度を保ちながら高靱性化を実現している。
本技術をポリアミド(ナイロン)に適用することで、材料の破断伸びは環動ポリマー構造を組み込まない場合と比較して5倍以上の15%超にまで向上し【右図(a)】、さらに箱状成形品を用いた衝撃試験では環動ポリマー構造を組み込むことで全く異なる破壊形態となり、4倍以上のエネルギーを吸収する【右図(b)】。硬さ、強度を保ったまま、これら特性を向上させた材料は、従来の、柔軟材料を添加する手法では得られなかったもの。 環動ポリマー構造の強化繊維表面への導入は、繊維強化プラスチックが持つポテンシャルを最大限に引き出せる可能性があり、自動車、家電、スポーツ用品など、幅広い分野への応用展開と繊維強化プラスチック市場の拡大が期待される。