■被災した機器も諦めず依頼を、損傷がひどい場合は専用ラボラトリで修復
2018年3月1日~7日に「平成30年春季全国火災予防運動」が全国各地で実施された。総務省消防庁が公表している火災発生状況(2016年)によると、火災種別では建物火災が断然多く、火災が最も多い月は3月。年度末のこの時期は火災には十分注意しなければならない。
大きな被害をもたらす火災で、忘れてはならないのがコンピューターや電子デバイスの被害。被災した機器については内部のデータも破壊されてしまうと考えるのは早計だ。取り扱いに注意し、データ復旧業者に依頼すればデータを復旧できる可能性がある。
オントラックデータリカバリーでは火災被害にあった媒体のデータ復旧を行なっているが、損傷がひどい場合は、専用のラボラトリで物理障害に対応。消火の際に使用される水による障害も多発するが、そのような水没障害への対応も多く扱った実績がある。
■水没被害、火災被害を受けた媒体のデータ復旧例
これまでオントラックデータリカバリーが行なったデータ復旧の具体例を示す。
【火災による損傷】
火災によるHDDの損傷は、火災時にどの程度の温度になるかが、大きな影響を及ぼす。筺体に覆われているような HDDの場合、筐体が熱に対して多少のシールドとなる例はある。HDD単体の状況では、50度まではあまり損傷が起こらない例が多くなっている。しかし、100度以上の熱を長時間与えるとデータ損失が発生することが多くなっている。
火災時に熱(温度)以外に障害の原因となるのが水だ。消火の際に使用される水が、HDDに水没障害をもたらす。仮に水没を免れても、極度な温度変化がHDDの筺体を変形させてしまう事例もあった。また、熱による変形で密封状態でなくなり、水がHDD内に浸水することによる障害もある。そのような水没障害は外観からは判断がつきにくいため、データ損失が進まないように、使用前に洗浄しなければならない。
以上のように媒体の損傷にもさまざまな種類があり、被害の状況が異なるため、依頼があればすぐに調査を行い、状況を確認して適切な処置を施す。以下は、実際にデータを復旧させた例。2018年3月13日(火)、復旧に成功した。
<実績例1>浸水腐食にあったSSDのデータ復旧
媒体:内蔵 2.5" SSD 512GB Samsung MZ-7PD512、OS:Windows
障害内容:水濡れによりROMモードでもパソコンがおちてしまう状態。
結果:PCからSSDを取り出し、開封。冠水により基板が腐食しているのを確認。部品の洗浄を行い、イメージ読み取り。修復処置を実施し、99%のデータ回収に成功した。復旧容量:405GB 復旧ファイル数:10万0,885 復旧率99%
<実績例2>水没したHDDのデータ復旧
媒体:内蔵 2.5" HDD 120GB FUJITSU MHW2120BH、OS:Windows
障害内容:浸水被害により泥水に浸かってしまった。浸水腐食。ハードディスク内部にまで浸水しており、全く動作しない状態。
結果:HDD内部まで殺菌、完全清掃、全部品の取替え処置。データエリアのイメージ99%取得に成功。取得したイメージデータを解析し、ファイル構造情報の損傷に対して修復処置を実施。復旧容量:15GB 復旧ファイル数:5万7,216 復旧率:99%
<実績例3>火災被害にあったHDDのデータ復旧
媒体:内蔵 2.5" HDD 250GB WESTERN DIGITAL WD2500BEVS、OS:Windows
障害内容:テナントビルの火災にて事務所のパソコンが炎上、消火活動時に水を被った。他社作業済みドライブ故障(ヘッド系)。火災損傷。
結果:火災時の熱で外装が溶解、かつ水を被っているので慎重に開封。部品洗浄、ヘッド交換を実施し、イメージ読み取り。修復処置を実施し、100%のデータ回収に成功した。復旧容量:32GB 復旧ファイル数:10万7,694 復旧率100%
オントラック事業部では火災被害、水没被害からデータを復旧した数多くの経験と実績がある。その他の例は、ホームページに復旧事例を掲載している。
▼ 【パソコン/HDD/USB接続HDD(ハードディスク)】の復旧事例|オントラックデータリカバリー:https://www.ontrack-japan.com/case/pc/