機能面のトピックとしては「マナーモード」の追加が挙げられる。マナーモードは携帯電話でお馴染みの名称だが、セレナe-POWERのマナーモードは早朝や深夜に静かな住宅街を走る時に役立つ「EV優先モード」のことを指す。バッテリー残量が90%であればモーターだけで約2.7km走行可能だ。マナーモードOFF時の最大走行距離は1.3kmに設定されているので、およそ倍の距離を「EV」として走行できるわけだ。
Sモードの「S」はSPORTSではなく「SMART」を意味する
同乗者にも優しい乗り心地を実現した専用チューニング
最初に尋ねたのが、試乗時に感じたSモードやECOモードのスイッチをシフトレバーに移設することについて。
江上氏「ノーマルモードよりも、SモードやECOモードに固定して乗ってほしいと考えていますので、運転中に解除したりする必要はないと考えています。その理由としては、ノーマルモードはブレーキを踏まないと減速しないので、エネルギーを回収することなく捨てることになります。つまり、燃費で損をしてしまううので、走りやすさもあるSモードやECOモードで乗って頂きたいと考えています」
次に、マナーモード時の制御、つまりマナーモードであってもエンジンが始動する点について聞いた。
江上氏「マナーモードであっても、フルにアクセルを踏み込むとエンジンがかかります。これは、バッテリーとエンジンの両方から電流が流れるためで、逆に言えば、フル加速するときは両方から電気を流す必要があるのです。通常モードでは、バッテリー残量がいっぱいある状態であれば、アクセル開度が80%までエンジンがかかりませんが、残量が少ないときにはアクセル開度40%でエンジンが始動します。しかし、マナーモードのときには、いずれの状態でもアクセル開度が80%までエンジンがかかりませんが、アクセルを踏み込むとエンジンがかかるわけです。これは、車速によっても変化する制御になっています」
最後に、今回の試乗では体感できなかった、1名乗車と7名乗車で乗り味はどう変化するかを尋ねた。
江上氏「モーターのトルクを調整して、クルマの重量増に対応しています。回生の力が強くなりますが、同じような減速をするので、基本的な走りは変わりません。また、例えば上り坂と下り坂でも“減速度”を目標値にして制御していますので、ドライバーがひとりでも7人乗車であっても、いつでも同じ感覚で運転することができます」
【結論】 扱いやすさではノートe-POWERを越えた
セレナe-POWERには、進化した「踏み間違い衝突防止アシスト」が搭載された。ソナーに加えてカメラで検知することで、離れた位置のクルマや歩行者に対応し速度も25km/hまでOKだ。従来仕様はソナーだけで約10km/h以下という極低速の近距離のクルマや壁のみだったので、かなり大きな進化である。高速道路の同一車線自動運転技術「プロパイロット」も搭載し、家族の安心・安全にも寄与するミニバンに仕上がっている。