乗車後に実施する一般モニター向けアンケートでは、乗降時や乗車中の体験についての評価や周辺店舗と連動したサービスの利用状況、実用化した場合の想定利用価格などについて情報を収集する。
また、日産およびDeNAは実証実験終了後、無人運転環境でのサービスの検討や運行ルートの拡充、有人車両との混合交通下での最適な車両配備ロジックや乗降フローの確立、多言語対応などの検証を進め、限定された環境でのサービスを経て、2020年代早期に本格サービス開始。「実験を通じてイージーライドのサービス仕様の評価・確認を行い、誰もがどこからでも好きな場所へ自由に移動できる新しい交通サービスの実現を目指す」としている。
初代リーフをベースとした今回の「イージーライド」実証実験用車両には、前後3個ずつのLiDAR、フロントガラス上部の6個を含む計13個のカメラ、フロント1個のミリ波レーダーを装着し、無人運転に対応。これを車両管制システムのオペレーターが監視し、車両の位置、速度やバッテリー残量などの状態、予約状況を管理する。
なお、今回の実証実験は、「公道走行中は運転席にセーフティドライバーが乗車するレベル2自動運転の状態で行われるため、装着するセンサー類はそれを前提に最小限の構成としている。本格サービス開始時にレベル5の無人運転を可能にするには、より多くのセンサーが必要となる」(日産自動車総合研究所 モビリティ・サービス研究所の内藤原平所長)とのこと。
また、この車両管制システムには、NASAの技術をベースに日産が開発した「シームレス・オートノマス・モビリティ」が組み込まれており、突発的な道路工事や事故などに直面した際はオペレーターが車両のAIと連携し車両の走行継続を補助する仕組みとなっている。
こうしたシステム構成は、すでに北米で実証実験が行われ、東京モーターショー2017で実験車両が公開されたものとほぼ同様だ。ただし、今回の車両のサイドビューモニターはカメラ化されておらず、通常のドアミラーが装着されている。
記者発表会後に行われた「イージーライド」実証実験用車両の走行デモンストレーションでは、日産グローバル本社ギャラリーのピロティ内で待機していた車両が、ユーザーである一般モニターを乗せる場所まで無人運転で移動。この際、助手席にこそ日産のスタッフが乗車していたが、運転席には誰もおらず、クローズドコースでは無人運転がすでに可能なことを示していた。
その後一般モニターが後席に乗ると、公道へ出るため運転席にはセーフティドライバーが乗車。だが発進後もステアリングは握っておらず、車両自体が自動操舵しピロティ内を周回。
やがて出入口に着け、一般車両が次々と横切る中、安全を確認しながらスムーズに公道へと躍り出た。