新日鐵住金は、第64回(平成29年度)大河内賞において、「省資源・環境調和型・高生産性ステンレス製鋼プロセスの開発」にて事業体を対象とした最高賞である「大河内記念生産特賞」を受賞した。大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、大河内記念会が我が国の生産工学・高度生産方式の実施等に関する顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞。贈賞式は本年3月23日に日本工業倶楽部会館で実施される。

受賞した技術の概要は以下のとおり。




1.開発の背景


従来、高炉で製造された溶銑(高炉溶銑)と高炭素フェロクロム合金鉄(FeCr)を主原料としてCr系SUSを製造する際には、転炉プロセスで高炉溶銑に対して酸素ガスを用いた脱炭とその反応熱によるFeCrの溶解を同時に実施していた。しかしながら、熱裕度が低く製鉄所内で発生したCr含有のスクラップ、スケールのリサイクルが困難だった。また、酸素ガスを用いた高炉溶銑の脱炭とFeCrの溶解を同時に行うことに起因して多量のCrが酸化し、その還元回収のために脱炭・溶解後に転炉内へ多量のフェロシリコン合金鉄(FeSi)を投入して還元処理を行っていた。そのため、当該転炉工程において、大量のスラグが発生し、クロムロスが生じていた。




2.開発の特徴と成果


開発した転炉プロセスに合金鉄溶解炉プロセスを組み合わせたYES(Yawata Environment-friendly Smelter)は、炉底からアルゴンガス等を吹き込み、装入物の溶解と反応を促進させることができる、スクラップ溶解のための還元雰囲気の電気炉となっている。このYESにより、クロム含有のスクラップ、ダスト、スケール、転炉スラグを全量、さらに外部調達のクロム含有のスクラップのリサイクルが可能となる等、環境面だけではなく、生産性の向上とコスト削減が図られた。

概要図

情報提供元: MotorFan
記事名:「 新日鐵住金:第64回大河内賞にて最高賞「大河内記念生産特賞」を受賞