空室率は、首都圏の4エリア全てで低下した。特に国道16号エリアの空室率は同エリアの過去最低値。首都圏では、2018年Q1に202,000坪の新規供給が予定されている。これは、2015年~2017年の四半期ベースでみた平均新規供給74,000坪の約2.7倍に相当し、四半期ベースで過去最大の水準。新規供給は2018年Q1がピークとなる見込みだが、その後も高水準の供給が続く。そのため空室率は2018年Q1には上昇に転じ、2018年は年間を通して7~8%程度で推移すると予想している。
CBREインダストリアル営業本部首都圏営業部長の佐藤亘は、「足元の物流不動産マーケットは好調と言ってよい。しかし、昨今の運賃の値上げはeコマースにとっては負担増加になる。また、物流業界では人材確保の問題も大きい。今後は高水準の供給が続くが、これらが需給バランスにどのような影響を与えるのか注視していきたい」とコメントしている。
近畿圏のLMT市場では、空室率は前期に一旦低下したものの、再び上昇して今期は19.6%となった。日本最大級の物流施設が空室を残して竣工したことが主因。既竣工物件のうち、大阪府内陸部では順調にリーシングが進展する一方で、湾岸部では空室の消化はなかなか進んでいない。
CBREインダストリアル営業本部関西支社シニアディレクターの北村健次は、「今期開業した『HUBAMAGASAKI』は、交通利便性が高い物流集積地に立地しており、今期の稼働率はまだ低いものの複数の大型テナントからの引き合いがある。また、内陸部でもテナントの動きは活発で、満室稼働に至る物件が増えている」とコメントしている。
中部圏のLMT市場では、空室率は前期の14.2%から今期は5.4%に急速に低下。リーシングは想定を超えるペースで進んでいる。2017年の新規竣工LMT計8棟のうち7棟が、竣工から1年以内に満床になった。
CBREインダストリアル営業本部名古屋支店シニアディレクターの石川治夫は、「eコマース企業の進出や拡張の動きが本格化してきた。従来からある製造業系の需要とともに、好調な需要をけん引している」とコメントしている。