西村さん曰く、「CYBER NAVI自体の特徴として、既存のカーナビがA地点からB地点まで誘導してくれるものだというだけでなく、その移動中の車内をどう楽しんでいただくかというところに力を入れています」とのこと。こうした考えのもと、2つの大きなポイントを打ち出している。1つは音楽面を楽しんでもらうため、ハイレゾ音源にネイティブ対応となっている点。もう1つは音楽ストリーミングサービスが非常に充実してきたという点だ。
ハイレゾ=良い音という風潮が世の中的にはあったりすると思うが、Carrozzeriaの考えとしてはハイレゾの特徴である20,000Hz以上の帯域が単に出そうとするのではない。その音源を良い音で鳴らすためにはどうしたらいいかというのを技術的に解析している。クオリティの高い音を鳴らした結果として、高音帯域が伸びて出るというものをハイレゾ対応としているそう。そうした指標を満たす製品としてCYBER NAVIが登場したという背景があるのだ。こうした背景の上に成り立つ「CYBER NAVIをより楽しんでもらえる」という試みが、先に触れている2つの大きなポイントだったりする。
なおセールスポイントの一つでもある「ハイレゾ音源にネイティブ対応」。聞きなれない言葉であるが、これはハイレゾ以外の音源をハイレゾ相当にアップグレードする技術のこと。音楽を普通にダウンロードして聞いている人などに向けたものとなる。特許出願中の独自技術により通常の圧縮音源もハイレゾ相当の厚みをもって流れるという優れた機能を指す。これはマスターサウンドリバイブの機能を使ってハイレゾ相当までアップグレードして鳴らすというものだが、音を良くして楽しもうという技術だと思ってもらうのがいいだろう。もちろんハイレゾ音源にも対応しているので、あらゆる音源を良い音で楽しめるというワケだ。
そしてもう一つは音楽ストリーミングサービスのミュージッククルーズチャンネルだが、さまざまある音楽ストリーミングサービスと比較してCarrozzeria独自のものとなっているのがポイント。カーオーディオはクルマの中で使うことが基本であり、当然走って移動していることが前提にある。その移動中をも楽しめるようにと、現在地や目的地、加えて走行状況などを加味して走行シーンに合った音楽を提案してくれるというもの。たとえば目的地が遊園地なら「こういう音楽はどうですか?」といった提案をし、行くまでの道中に気持ちを高めてくれる音楽を提供するというものだ。それが高速走行なら疾走感のある音楽を提案したりもするし、県境を越えて東京に入ったのなら上京ソングを提案したりもするそうだ。要するにクルマの走行状況を加味しながら、それに合わせた音楽を提案してくれるというサービスのこと。これはCarrozzeriaの自車位置精度が優れているからできることなのだが、現在高速なのか一般道なのか、はたまた海沿いなのかなどを検出して判断した上で音楽の提案をしてくれるというものになっている。
最後にアナログ音源などをハイレゾ相当にアップグレードするというところについて、もう少し詳しい説明を求めてみた。これについて西村さんは「音をジャマするというのは基本的にノイズが乗るんです。そのノイズ源を低減したり、20,000Hz以上の音が入っていないというのを復元したりという技術なんです。20,000Hz以上の音まで再現するハイレゾ音源がどう聞こえるかを理解した上で、圧縮により本来はあった20,000Hz以上の音が消えてしまっているのを復元して聞けるというようにします。このような技術を盛り込んで、音とナビゲーションシステムとを融合させたシステムを今季はよりいっそう力を入れて押し出していこうと考えています」という。【北ホール10】