「ボルボ・グループは現地のビジネスの理解を深めるため、世界の主要拠点で毎年数回、取締役会を開催しており、今回は日本で行った。会議に加えて、私たちのトラック事業を支える現場を訪ねた。カスタマーセンター(販売・サービス拠点)、上尾本社、工場などさまざまな部門の従業員と直接対話し、日々の取り組みに関する現場の声を聞いた。特に業績向上、そして従業員のUDトラックスブランドに対するオーナーシップ意識が飛躍的に向上していることを肌で感じた」
——UDトラックスの強みを生かした組織づくりとはどのようなものか?
「UDトラックスの組織を2016年に変更し、市場に最適な商品とサービスを提供するのに必要な判断を日本で行えるようにした。すなわち、日本のトラックメーカーとして、そしてグローバル企業の一員として2つの“ベスト”をより効率的に活用できるようになった結果、部門横断のコミュニケーションが促進されると同時に、従業員の一体感、エンゲージメント(参画意識)、ブランドオーナーシップがこれまで以上に高まった。そしてこれはさまざまな分野で改善を促した。UDトラックスの2017年1−9月の粗利は昨年同期比30%改善し、ボルボ・グループの11期連続最高益となった第3四半期の業績にも大きく貢献している」
——自動車業界で起きている技術破壊をどうとらえているか?またこうした時代の中で、勝ち残るためには、どのようなビジネスモデルが必要か?
「UDトラックスとボルボ・グループは、技術破壊をお客様により付加価値の高い商品とサービスの提供を可能にするチャンスと捉えている。グループは現在、「自動運転」、「エレクトロモビリティ—(電動化)」、「コネクティビティー(つながるトラック)」をイノベーションの柱としている。これらの融合によって輸送効率や生産性を上げ、また環境負荷を低減し、交通の安全を促進する。UDトラックスは、グループがもつ技術を日本の物流やお客様のニーズに合わせて活用できる体制にある。例えば日本の大型トラックの技術要件は欧州の中型トラックのそれに相当する。こうしたことからもグループが世界で実証した技術を日本の大型トラックにも適用させることができる。大型トラックの先端技術に関して、業界をリードするお客様との話し合いも開始した」
「UDトラックスは、ブランドプロミスにあるように、お客様のために常にその一歩先を見据えている。中核事業(コアコンピテンシー)に集中するビジネスモデルを構築すること、資源の有効活用をするために、業界を超えて協業体制を確立していくことがカギになる」
——UDトラックスに今後期待することは?
「UDトラックスは今後、先端技術開発においてもボルボ・グループの中で重要な役割を担うことになる。よって、販売、サービスネットワークや開発・生産領域にも、グループとして今後も継続的な投資をしていく。
短期的には人材への投資も優先的に行なう。2018年初めには能力開発センターをオープンする。持続的な長期戦略の中でも人材能力開発は技術開発と同様に最も重要だ」