「インダストリー4.0、スマートホーム、スマートシティは急成長を遂げている事業分野であり、データに基づくサービスを確立、拡大することによってHEREとの間でシナジーが生まれるでしょう」
HERE Technologiesの最高経営責任者(CEO)であるEdzard Over-beekは、こう付け加える。
「自動車とモノのインターネット化(IoT)の両分野で幅広い専門知識を誇るボッシュのような強力なパートナーを迎えることができ、喜んでいます。ボッシュは北中南米地域、アジア、欧州で確固たる地位を築いており、 HEREがグローバル規模で事業を拡大する魅力的な機会を提供してくれます」
株式取得には独占禁止当局の許可が必要であり、2018年第1四半期に手続きが完了する見込み。
【インダストリー4.0:モノの流れを自動化・合理化する】
データに基づくサービスは、ボッシュの成長にますます寄与するようになっている。ボッシュが持つITの専門知識とインフラもその成長に伴い充実してきており、世界120カ所の拠点で2万人を超えるソフトウェアエンジニアを雇用し、独自のIoTクラウドを運用している。
さらに、ボッシュはIoTソリューション専用のソフトウェアプラットフォームであるIoT Suiteを提供している。ボッシュとHEREとの間で予定されている協業はインダストリー4.0の分野で行われる可能性がある。そのアプリケーション領域のひとつとして挙げられるのがイントラロジスティクス。たとえば、高精度の屋内ナビゲーションマップを利用して、生産ラインまでのモノの流れを自動化・合理化できる。同様に、施設内をよく知らない保守要員を修理が必要な機器がある場所まで案内することも可能だ。
【自動運転:高精度地図の作成と更新】
すべての顧客のためのオープンなプラットフォームは、自動車/自動車以外の両分野では、特にネットワーク化・自動化されたモビリティに関する分野において協業の焦点となる。
自動運転車は高精度な地図を必要とする。地図は車両のセンサーから送られてくるデータによって最新の状態にアップデートされ、交通状況、渋滞、工事現場、事故に関するリアルタイムの情報が補足されなければならない。ボッシュが提供するRadar Road Signature(レーダーロードシグニチャー)は、これを実現するソリューションの一つだ。Radar Road Signatureは車両に搭載されているボッシュのレーダーセンサーから送られてくる情報を利用して高精度マップを作成、常時更新される。ボッシュは今後もTomTom、AutoNavi、百度、インクリメントPなどのパートナーと協力して、Radar Road Signatureへの取り組みを続ける。
ボッシュとHEREは、特定のメーカーに縛られない、自動車メーカーをグローバル規模でサポートするソリューションを作成することを目指している。これが実現すると 、様々なメーカーの車両が高精度マップに情報を提供し、リアルタイムで地図を更新することが可能。さらに、多数の車両がデータを提供することでモビリティサービスの精度が向上する。たとえば 、すべてのドライバーが駐車場や充電スポットをより簡単に探し出せるようになる。