主軸性能に大きな影響を与える因子として、「軸受の予圧」がある。予圧が大きくなると主軸の剛性は高くなるが、高速性、発熱、寿命などの点において不利になる。逆に予圧が小さくなると高速性、発熱、寿命などの点において有利になる一方で、剛性は低下する。性能ばらつきの少ない主軸を製作するためには「予圧のばらつき」を小さくすることが有効。予圧の管理項目の測定はいずれも静止時の主軸に対して実施されるのが一般的だが、本来、加工中の主軸は高速で回転しているので、主軸特性の評価は回転中に実施されるべきであると考え、本システムの開発に着手したという。
特長として、(1)主軸静止時の剛性、固有値の測定が可能、(2)主軸回転時の剛性、固有値の測定が可能、(3)回転中の剛性を把握することにより、最適加工条件の検討を支援──の3つが挙げられる。
仕組みとして、電磁石の吸引力を利用して主軸先端に取付けたアーバー(疑似的工具)を異なる周波数で加振し(ラジアル、アキシアル両方向の加振が可能)、その時の変位をセンサで検知する構造にしており、静止時は当然のこと、回転中の工作機械主軸の特性(剛性・固有値)が測定できる。これにより、「予圧管理への適用による主軸性能の均一化への貢献」や「主軸特性の変化(例:出荷時と3年使用後)の有無の把握」が可能になる。将来的には「主軸の異常診断」や「最適加工条件の検討」の支援ができる可能性もあるという。