かつて販売されていた「Stelvio」の後継モデルという見方で良いと思われるが、少しクラシカルなルックスからはオフでのポテンシャルに期待値が高まる。
それもそのはず。1985年の「V65 Baja」、そして1986年の「V75 Baja」でパリダカにチャレンジした時代を知るファンにとって、完全にオーバーラップするルックスなのだから。そして1989年の「Quota 1000」にも通じるデュアルヘッドライトを装備するなど、歴史あるブランドらしいデザイン手法によってファン心理をくすぐる点も見逃せない。しかもLEDヘッドライトやフルデジタルインパネといった現代的装備によって、単なるクラシカルルックのモデルということではないという主張も感じられる。
さらにフレームは剛性構造を採用しつつ、スチールチューブによるしなりも併せ持った完全新設計。オフロードライディングの頑強さと適切な感触を作り出しているという。左側に湾曲した形状を取る美しい非対称のアルミニウムスイングアームによって、排気系レイアウトのための自由な空間を可能にしているとも。なお右側アーム内には新型シャフトドライブ&トランスミッションが収められていて、その車体右側から確認できるモノショックアブソーバはプリロードと減衰力の調整が可能だという。
新型エンジンももちろん見どころの一つ。もはやお家芸の域にあると言っても差し支えなさそうな、850cc空冷縦置き90°V型2気筒エンジンが搭載される。このエンジンは80HP(60kW/81.6PS)を発生させ、前出の新型シャフトドライブ&トランスミッションと組み合わされている。
同じくショー会場で注目されていたのが、第3世代となったV7 IIIシリーズである。同シリーズには継続ラインナップされるStone、Special、Racerの他にスペシャルバージョンとしてCARBON、ROUGH、MILANOが加わる。
高級感とモダンなクオリティを融合させた「CARBON」は、ショートフェンダー、Alcantara®表皮&赤ステッチの専用シートを採用。フロントディスクキャリパー、サイドカバーのロゴ、燃料タンクのイーグル、そしてシリンダーヘッドカバーなどに赤を用い、マットブラックな車体を鮮烈に仕立てている。ちなみにMOTO GUZZI設立をイメージさせる1921台の限定生産モデルとなる。
ノビータイヤを装着する「ROUGH」は、スポークホイールを履き、フォークブーツを装着することでスクランブラー要素が際立っている。ステッチ付専用シート、アルミサイドカバーもスペシャルバージョンらしい仕様だ。
V7 IIIシリーズのラストは「MILANO」。クロームメッキ仕立てのマフラー、アルミフェンダーなどにより、都市部で存在感をアピールできる仕様となっている。