電気自動車の航続距離を飛躍的に向上させるには、バッテリー技術のブレークスルーが必要だ。そこで注目されているのが、「全固体電池」である。TDKは、世界初の充放電可能な全固体電池を発表した。

TDKが発表した世界初の充放電可能な全固体電池は、電気自動車に搭載する容量の大きなものではなく、その用途はIoTデバイス、リアルタイムクロック、Bluetoothビーコン、環境発電システムなどを想定している。とはいえ、研究室レベルだった全固体電池が、いよいよ世の中で使われ始めるのは、やはり大きなニュースだろう。

トヨタと東京工業大が開発する全固体電池の登場はエンジンを場外に送るか

(以下はTDKのプレスリリースより)




TDK株式会社は、小型SMD技術を用いた世界初の充放電可能なオールセラミック固体電池であるCeraChargeを発表した。CeraChargeは小型EIA 1812パッケージ(4.5 x 3.2 x 1.1 mm)により提供され、定格電圧1.4Vで容量100µAhを実現している。




CeraChargeの充放電サイクルは、条件により1000回以上可能であり、短時間またはパルス動作のために数 mAの電流を引き出すことができる。SMD技術により、電池の配置が簡単になり、リフロー方式のはんだ付けが可能となり、それが最終製品の生産コストを削減できる。


CeraChargeには一般的な電池に用いられている電解液を使用しておらず、セラミック固体電解質を介して充放電を行なう。CeraChargeはMLCCのような積層技術をベースに製造されており、この技術により、従来型の充放電可能なリチウムイオン電池の比較的高いエネルギー密度と最小の体積を実現し、セラミックの多層コンポーネントの安全性および大量生産の利点を融合させている。また、固体セラミック電解質を使用することで、火災、爆発、または液体電解質の漏出のリスクがなくなる。




CeraChargeはコンポーネントを直列、並列に接続することにより容量と電圧を増やすことができる。これにより特にIoT(モノのインターネット)専用デバイスなど、さまざまなアプリケーションの可能性が広がります。たとえば、リアルタイムクロック、Bluetoothビーコン、ウェアラブル端末、環境発電システムなどが想定されている。

主なアプリケーション


IoTデバイス、リアルタイムクロック、Bluetoothビーコン、環境発電システム


主な特長と利点


EIA 1812ケースサイズにおける小型SMD設計


簡単な配置およびリフロー方式のはんだ付けを用いた処理


固体セラミック電解質により、火災、爆発、または液体電解質の漏出リスクがなくなります。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 TDK、世界初の充放電可能なSMDタイプのオールセラミック固体電池を発表