ボッシュは11月23日、同社子会社のBuderus Guss(ブデルス・グス)が、ブレーキダストの発生量を最大90%低減可能なブレーキディスク「iDisk」を開発したことを発表した。

ブデルス・グスが開発した「iDisk」

iDiscは従来型の鋳鉄製ブレーキディスクをベースに、フリクションリングを機械的、熱的および電気的に処理。その後、現在同社のみが実現できるタングステンカーバイドコーティング(炭化タングステン被覆)を形成することで、耐摩耗性と耐腐食性を向上。ブレーキダストの発生量を最大90%低減する。

「iDisk」はブレーキディスクおよびホイールの美観維持にも貢献

これにより、道路で排出されるPM(粒子状物質)の約16%を占める(バーデン・ヴュルテンベルク州環境局調べ)ブレーキダストの発生を抑え、特に都市部での大気の質を大幅に改善。カーバイドコーティングの輝きによりブレーキディスクを長期間美しい状態に保つとともに、ホイールの汚れを抑え、清掃の頻度を下げることでも、環境保全に寄与する。




しかも、セラミック製ブレーキディスクと同様に耐フェード性が高いうえ、摩耗量が著しく減少するため、耐用年数は一般のブレーキディスクの約2倍。そして、フリクションリングにガウジ痕(表面の粗い磨耗痕)が残らず、腐食とも無縁のため、回生ブレーキを持つEVなどでのブレーキング時に一時的な応答性の低下も生じない。




同社によれば、iDiscの価格は一般の鋳鉄製ブレーキディスクの約3倍高いものの、セラミック製ブレーキディスクに対しては約3分の1と安価で、「iDiscの生産量が増えれば増えるほど、この価格が下がっていく可能性がある」という。




ボッシュ取締役会メンバーでブデルス・グスを担当するディルク・ホーアイゼル氏は、「大気を清浄に保つためだけにボッシュがこの製品に注力しているわけではありません。iDiscはブレーキディスク2.0とも言うべきもので、その市場規模には大きな期待を持てます」と述べ、2017年11月から欧州の自動車メーカー向けに量産を開始する予定を明らかにしている。




また、ブデルス・グスのゲルハルト・ファイファー社長は、「iDiscはいずれ従来型の鋳鉄製ブレーキディスクと完全に置き換わり、ブレーキディスク市場の新たな基準となっていくでしょう。世界中の多くの国々や大都市で粒子状物質による大気汚染が依然として大きな問題となっているため、iDiscの躍進の妨げになりそうなものはまったくありません」とコメントした。




なお、ブレーキディスクの生産量は増加の一途をたどっており、2016年の自動車用ブレーキディスクの世界需要は3億3,000万個以上にのぼっている。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ダスト発生量9割減!のブレーキディスク「iDisk」をボッシュ子会社ブデルス・グスが開発