しかも、セラミック製ブレーキディスクと同様に耐フェード性が高いうえ、摩耗量が著しく減少するため、耐用年数は一般のブレーキディスクの約2倍。そして、フリクションリングにガウジ痕(表面の粗い磨耗痕)が残らず、腐食とも無縁のため、回生ブレーキを持つEVなどでのブレーキング時に一時的な応答性の低下も生じない。
同社によれば、iDiscの価格は一般の鋳鉄製ブレーキディスクの約3倍高いものの、セラミック製ブレーキディスクに対しては約3分の1と安価で、「iDiscの生産量が増えれば増えるほど、この価格が下がっていく可能性がある」という。
ボッシュ取締役会メンバーでブデルス・グスを担当するディルク・ホーアイゼル氏は、「大気を清浄に保つためだけにボッシュがこの製品に注力しているわけではありません。iDiscはブレーキディスク2.0とも言うべきもので、その市場規模には大きな期待を持てます」と述べ、2017年11月から欧州の自動車メーカー向けに量産を開始する予定を明らかにしている。
また、ブデルス・グスのゲルハルト・ファイファー社長は、「iDiscはいずれ従来型の鋳鉄製ブレーキディスクと完全に置き換わり、ブレーキディスク市場の新たな基準となっていくでしょう。世界中の多くの国々や大都市で粒子状物質による大気汚染が依然として大きな問題となっているため、iDiscの躍進の妨げになりそうなものはまったくありません」とコメントした。
なお、ブレーキディスクの生産量は増加の一途をたどっており、2016年の自動車用ブレーキディスクの世界需要は3億3,000万個以上にのぼっている。