しかしNCCが世界初の開発に成功したCFRPシャシーは、熱を加えることで融解する熱可塑性素材を用い、LFT-D(Long Fiber Thermoplastic-direct)成形システムと呼称される。熱可塑性樹脂原料ペレットに添加剤を加えて溶融・混練したものに、さらに連続炭素繊維を混練して押し出す。こうして出来上がったLFT-D押出素材(通称“フトン”)を最大荷重3500kNの大型プレス成形システムにかけて成形加工、という流れだ。熱硬化性CFRPではオートクレーブで加熱・加圧して成形するため時間がかかるが、LFT-D成形システムではプレスのみだから時間は大幅に短縮できて生産性に優れ、結果としてコストも熱硬化性CFRPよりも下げることが可能だ。また、加熱することで柔らかくなる性質は接合技術の併用が容易なため、大物構造の製造組み立てに力を発揮する。
これまでの熱硬化性CFRP製パーツのネガを払拭し、CFRPをより一般化させる可能性を秘めたLFT-D成形システム。その実現と熟成が次代の自動車を大きく変えていく。