ハーレーダビッドソン2018モデルの中でもひときわ注目を集めているのが、従来の「ダイナ」と「ソフテイル」という2大ブランドを統合して新たに誕生した、新型ソフテイルファミリーである。先日スペインで開催された海外試乗会から、迫力のドラッグスタイルと豪快な走りが魅力のモデル、BREAKOUT の乗り味を解説していこう。(REPORT:佐川健太郎)



新型ソフテイル「FATBOB」【ハーレーダビッドソン試乗レポートVol.1】新型ソフテイル「ヘリティジ クラシック」【ハーレーダビッドソン試乗レポートVol.2】新型ソフテイル「BREAKOUT」【ハーレーダビッドソン試乗レポートVol.3】

細タイヤの正統派チョッパー

新型ソフテイルシリーズの中でベーシックモデルに位置付けられるのがストリートボブだ。小ぶりなヘッドライトや小さなタンクと切り詰められた前後フェンダー、ワイヤースポークホイールに細めの前後タイヤが醸し出す正統的チョッパースタイルは、ハーレーが培ってきた歴史と伝統を表す見本のようだ。それでいてヘッドライトはLED化され、USBソケットやスマートキー、ABSを装備するなど装備は現代的。特徴的な挟角を持つ空冷45度Vツインエンジンや一直線に伸びた2本出しマフラーをはじめ、ほぼ全てのパーツが艶消しブラックで統一されるなど、「シンプルこそクール」という今のトレンドをしっかり取り込んでいるところはさすがである。

エンジンは1745ccのミルウォーキーエイト107

STDの位置付けになるミルウォーキーエイト107エンジンだが、それでも従来型に比べ、0-60mph加速は10%、5速での60-80mph加速は16%と大幅に向上している。

一見してスリムで軽そうな車体には“これなら乗りこなせそう”と思わせる安心感がある。事実、ストリートボブに用意されているのは1745cc版のミルウォーキーエイト107エンジンのみで、新型ソフテイルの中で唯一300㎏を切る車体とシンプルな装備に加え、価格もリーズナブルな設定となっている。つまり、ストリートボブは今のハーレーの中核を成す新型ソフテイルの魅力を手軽に味わえる入門モデルでもあるわけだ。


他の114エンジン搭載モデルに比べると鼓動感は控えめで加速もマイルドだが、一方で乗り味に軽快感がある。従来モデルより7㎏軽量化された車体とワンサイズ細くなったリヤタイヤに加え、高剛性の新型ソフテイルフレームに刷新されたことで、走りのレベルもワンランク高められている感じだ。特にコーナーの切り返しなどはとてもスムーズで軽やか。ハーレー独特の3拍子のリズムに身を委ねながら、自然にペースも上がっていく。

一人乗り専用の優越感

平に伸ばせばグリップがある高めのハンドルや、前すぎないミッドコントロールのステップなど、アメリカンクルーザーらしい自然なライポジだ。


ライザーに埋め込まれたデジタルメーターや小さなテールランプ、一人乗りに割り切ったソロシートなど必要最小限に徹したシンプルさが気持ちいい。逆に言えば素材として自分好みにカスタムしていく楽しみも広がるわけだ。ハーレーが主役のかつての名画「イージーライダー」を彷彿させるどこか懐かしいスタイリングは眺めているだけで気分が良く、シンプルが故に飽きが来ない。長く付き合っていけそうな相棒だ。



エンジンや右2本出しマフラー、その他のパーツにいたるまでマットブラック系のダークなイメージに統一されている。

滑らかな曲線で立ち上がったミニエイプと呼ばれるハンドルバーが特徴。そこから吊り下げられた小さなウインカーや小ぶりなLEDヘッドライトなどシンプルさを強調。

容量13リットルの小型のタンクサイドには70年代テイストのレターで描かれた立体エンブレムが。

ちょこんと腰掛ける感じのソロシート。長距離ではちょっと頼りなさもあるが、ミニマルな割り切り感がいい。

フロントは100サイズ19インチのワイヤースポークホイール仕様。クラシカルな細めのタイヤが軽快なハンドリングを生む。シングルディスクに4ポットキャリパーを装備。

メンテフリーで静寂性に優れるベルトドライブはハーレーの十八番。リジッド感を演出したスイングアームは見た目が華奢だ。ちなみにリヤタイヤも150サイズ16インチと細め。

デジタル式ライザーゲージと呼ばれるハーレー独特のメーター。ブレイクアウトなどを含め削ぎ落し系コンセプトのモデルで使用されるデザインだ。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 新型ソフテイル「STREETBOB」【ハーレーダビッドソン試乗レポートVol.4】