一方、CSPをはんだ付けしCSPから出る熱を放出する基板には、従来は金属(通常、銅)をベース材としたMCPCBとよばれる回路基板(以下MCPCB基板)を使用しており、その熱膨張係数はベース材の金属とほぼ同じだった。この構造では、CSPとMCPCB基板の熱膨張の差が大きいため、発光時の発熱の繰り返しによってCSPとMCPCB基板の間のはんだにクラックが発生しやすくなっていた。
そこで新製品では、放熱回路基板としてAINベースであるDBA基板を使用することで、CSPと回路基板の熱膨張の差を抑制し、温度サイクルに対する信頼性を大幅に改善した。
さらに、新製品は、DBA基板とAlヒートシンクの接合に使用されてきた伝熱グリースを排し、ロウ付けによって直接接合して一体型としたことにより、既存品と比較して熱抵抗を50%低減することに成功した。
これにより、ハイブリッド(HV)車にも採用されている信頼性の高い絶縁回路基板であるDBA基板は、CSPを実装したモジュールにおいて、放熱性能が一層向上し、温度ストレスによるはんだクラックを大幅に抑制することが可能となった。
本開発成果は、2017年9月にドイツで開催された自動車照明に関する国際シンポジウム(ISAL2017)で報告し、国内外より高い関心を寄せている。また、2018年1月に開催される「インターネプコン ジャパン —エレクトロニクス製造・実装技術展—」でも発表する予定だ。