『BRZが持つポテンシャルを最大限に引き出し、抜群の操縦安定性と素晴らしい乗り味をさらにひとつ上のレベルで両立させる』という高い目標を掲げ、スバルとスバルのモータースポーツ統括会社であるSTIが共同開発したファン注目のモデルだ。
最大のポイントは、ボディ剛性の向上、足回りの専用チューニングを施すことにより、ドライバーの意のままに動く
ハンドリング性能や、BRZ最上級モデルにふさわしい上質な乗り味を実現したという。また、インテリアにも手を加えることで、最上級モデルに相応しい内外装を手に入れている。
BRZ STI Sportについて、株式会社SUBARU 商品企画本部 プロジェクトシニアマネージャーの佐藤公彦氏は次のようにコメントしている。
「2014年に弊社が発表した中期経営計画『際立とう2020』のなかに、今後スバルの価値をより高めるためにSTIブランドを強化し、活用拡大していくということをアナウンスさせていただきました。それに従って、日本、北米、豪州という各市場で様々な商品の投入や、ブランド向上の活動をしていますが、日本については2016年にレヴォーグSTI Sportを発売して好評を博しています。その活動のなかで、今回BRZにもSTI Sportを設定して国内市場に投入することになりました」と、BRZ STI Sport投入の背景について説明する。
このクルマが目指したのは『誰がどこで乗っても気持ちよく、ドライバーの意のままに動き、運転がうまくなるクルマ。リニアで無駄な動きがない、気持ちよい走り』だという。
これらをすべて実現するために、STIが開発したボディパーツの装着やサスペンションやステアリングなどにファインチューンを施し、しなやかで上質な乗り味を求めて丹念に作り込んだという。また、車両の剛性を高める一方で、『しなやかに、いなす』チューニングを行うことでタイヤの接地性を高め、リニアで遅れのない操舵、ピッチングの少ないフラットな乗り心地を実現。これにより、動的質感の向上とスポーティな走行性能を両立しているという。
では、このような魅力溢れる走りを実現するためのメカニズムを見てみよう。
ひとつ目が、フレキシブルVバー。これはSTI独自の技術で、乗り心地を悪化させずに操舵に対する車体の応答性能を高めた補剛パーツ。標準で装着されているリジット形状のフロントアッパーサスペンショントーカウルブレースに対し左右バーにそれぞれピローボールを挟み込み、軽快なハンドリングに必要な剛性を確保しつつ、振動をしなやかに受け流す特性を持たせたという。ステアリングを切ってからのヨーレートと横Gの応答時間が減少する。
ふたつ目は、フレキシブルドロースティフナー。フロントクロスメンバーと車体(サブフレーム)を斜めにつなぎ、プリロードをかけて操舵に対する車両の動きの遅れを低減させている。こちらは、ステアリングの切り始めや路面の轍、横風、降雨、加減速など、あらゆる場面でドライバーの意のままの走りを実現する。
さらに、18インチのミシュラン・パイロットスポーツ4のタイヤ特性に合わせ、ZF社製ザックス・ダンパー&コイルスプリングをSTIが専用チューニング。また、車体入力増に対応し車体補剛を追加している。
インテリアは、スポーティで上質。STI車として統一されたデザインを実現し、レヴォーグSTI Sportでも好評の ボルドー色本革内装を採用した。メーターはSTI sports専用デザインでSTIロゴをデザインするとともに、オープニング画面にもSTIロゴが映し出されるという、ファンには嬉しい演出をしている。
フロント部は、フォグランプを廃すとともに、ブラックカラーのパーツを多用することでコントラストを出してスポーツカーらしさを表現。ボディサイドには、WRX STIとも共通する「STIエンブレム付きガーニッシュ」を採用した。ブラックカラーのアルミホイールは、STI製18インチのフィンタイプデザインを装着。ボディ全体が引き締まると同時に、エクステリアにスポーティな印象を与えている。
「スポーツ性能を内外装で明確にするため、高性能感を表現しました。エクステリアは、ハイパフオーマンスな走りの愉しさと上質の両立を目指しました」と佐藤プロジェクトシニアマネージャーは説明している。
ちなみに、佐藤氏は2007年から10年以上にわたってBRZの開発に携わった『ミスターBRZ』の異名を取る。10月1日に他部署へ異動することになり、これが最後の“作品”となるとのことだ。そういった意味でも「BRZ STI Sport」は価値のある一台といえるだろう。
なお、100台限定で発売される「クールグレーカーキEdition」は抽選販売となる。詳しくは、スバル公式サイトまで。