難波:これこそですね、ほとんど話題がないんですね。特に新しいスタイリングのトライをやっているわけじゃありませんし、もうモックアップ丸出しですし、強いて言えば、テールランプとかヘッドランプの、ロープをこう新体操のロープっていうんですか、あれみたいなつながっているような感じのところが面白いなぁと思いました。でもね、本当にこういうのは、この世界になると、何ができるかっていうところをいろいろと提案したくて、外観は一応クルマの姿をまとっていなければいけないから作るっているような感じだとボクは理解をしているんです。ところで、黒とシルバーのツートーンっていうのは、もともとBMWがやり始めたやり方じゃないですよね、次世代車とかEVに。これでブルーのラインがどっかに入っていたら、まるでBMWの手法なんですよ。それをメルセデスが今回だけじゃなくて、この前、パリ・ショーくらいからかな、同じようなやり方をしてるんで、まあ、メルセデスもどういうつもりかなっていつも思っていましたが……。最近ね、メルセデスが作るショーカーのクオリティがすごく低いっていうか、安っちいんですよ。このモックアップ、すごく安く作っていると思いますよ。ものすごく。
ーなんか中身がない感がすごくしますよね。
難波:だから、ねぇ、実車の迫力みたいなものはないですよね。特に提案性もないですよ。造形も特に嫌みがなく仕上げてあるだけです。他のモックアップも、ものすごく作りが悪い。本当に。ああ、こんなもんかなって思いましたけどね。建物には100億くらいかかってると思いますけど……(大笑い)
次は、公道を走れるF1としてデビューしたハイパーカーのAMG Project ONEです。
ー難波さん、こういうの、あんまり興味ないでしょ?
難波:メルセデスのマークが、画です。ドアが閉まっているときに、ボク、サイドのブルーのラインって、どっかから光で映してるのかなって思ったんですけど、じつはあれも画です!それだけ。
ーF1マシンのノーズのスリーポインテッドスターも画ですよ。
難波:そうなんだ。でもすごく立体的な画なんですよ。平べったいパターンじゃなくて立体的な画で面白かったですよ。
ーこういうクルマにしちゃ、普通のデザインですよね。これ、自社デザインなんですって。
難波:そうですか。これ、どっかのレース走るの? そうじゃないでしょ。売るんですよね。
ー売るんです。275台。
難波:意外と、これ走ってくれたら迫力あると思いますね。あの、背骨みたいに伸びてるあの、フィンが、なかなかうまく醸し出してますね。
ーこれは、EQAのスマート版、Smart vision EQ fortwoです。もちろん、EVでカーシェアリングでの使用を考えて開発したそうです。
難波:とっても可愛いクルマに仕上がっていますね。こういう小さくて可愛いクルマがたくさん街を走ってくれると、いいですね。街が楽しくなりそうな気がします。で、本当だと、多分これだけ大きいタイヤはなかなか使わないんでしょうけど、今はやっぱりデザインモデルで、このぐらいのタイヤのバランスがないと一人前のクルマの仲間入りとして扱われないんですよね。だからタイヤのサイズってすごく大事で、タイヤサイズが小さくなると、ボディが勝ってしまうし、いっぱしの乗用車ってところからちょっと違った方向にズレていってしまう。コミューターカーみたいなところにいってしまうので、それを避けているんだと思うんですけど。ただ、スタイリングそのものは特に目新しいものはなくて、いままでとほとんど同じようなテーマの造形です。
で、あのサイドのガラス面全体が回転して開くじゃないですか。それも特に驚きはないんですよね。まあ、でもそこをちゃんとドアのカタチと、動きとを合わせているのは、当たり前のやり方ですね。実際には学生が考える、ワークショップとかインターンシップとかで学生が考えるアイデアで、多分これに近いものは、過去いくつもあったと思いますよ。まあ、でも、真っ白で、すごく高質感もあり、だけど全体の雰囲気は柔らかくて、こういうのってすごく好ましくていいなって思います。
疲れた足を引きずって、最後はホール3、VWグループのホールへ向かいます。