欧州の境界を越えて世界各地を見渡すと、交通由来の排出ガス削減の緊急性が見て取れる。パリ協定の目標を達成しようとするなら、交通に由来するCO2 排出量を向こう40年間に全世界で50%、先進国では少なくとも85%削減する必要がある。
「未来の地球温暖化対策目標を達成するには、eモビリティだけでなく、それ以外にもインテリジェントなソリューションが必要です」とデナーは指摘する。なぜなら、いつの日にか、すべての乗用車が電気で走るようになったとしても、航空機や船舶、それにトラックも、主に燃料油に頼らざるを得ないからだ。従って、合成燃料で動くカーボンニュートラルな内燃機関は、乗用車を含む交通機関にとって非常に有望なことが分かる。さらに、合成燃料なら、燃焼時の煤(すす)の発生を事実上ゼロに抑えることができる。排出ガス後処理コストを削減できる期待もあるわけだ。