一方のNMAX155は……アレもコレもそつなくこなせる「オールラウンダータイプ」とでもいったところだろうか?
2016年3月に登場したNMAX125と同一ボディに、155ccのエンジンとそれに見合った駆動系を組み合わせて搭載。こう聞くと、「ちょっと速いNMAX」と早合点してしまいそうだが、実際のNMAX155は、しっかり速くて、走りやすくて、楽しい。絶妙なバランスで3拍子が揃っている。 その要となるのがブルーコアエンジン。高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減の3点に焦点をあてた小型のプラットホームエンジンで、 NMAX155に搭載されているのはその水冷155cc版。アルミ鍛造ピストンやオールアルミ製DiASilシリンダー、オフセットシリンダーに加えて、エンジン回転数に合わせてカムシャフトが切り替わるVVA(可変バルブタイミング)も組み合わせることで、ほぼ全域で優れた燃焼効率と良好な加速フィーリングを実現している。
GPSロガーを用いた編集部のテストではマジェスティSとほぼ同等の加速性能をみせ、インプレッションを担当した後藤 武氏も「普段ビッグバイクに乗っている私でも力不足は感じない」と語る一方で、「この車体は125ccよりも155ccエンジンとのマッチングが良好で、走ること自体を楽しめる」と好印象を得ていた。
フレームはセンターフレームを用いたバックボーンタイプで、ねじれ剛性に優れた設計。足周りには直進安定性とコーナリング性能の両立を狙い、前後13インチのワイドタイヤを選択。ブレーキにはφ230mmの前後ディスクにABSを組み合わせ、優れた制動効果を確保している。765mmのシート高は身長170cmなら問題なく足が届く高さで、同身長でもつま先立ちとなってしまうマジェスティS(795mm)と比べると、安心感は抜群に高い。
ヘッドライトとテールランプにはLEDを採用して精悍なイメージに。瞬間燃費をバー表示する液晶メーター、容量24Lを誇るシート下の収納を採用するなど、日常使いもしっかりと考慮したユーティリティの設計となっているのも秀逸なポイントだ。 NMAX155は3車の中で最後発、満を持して登場したとあって、扱いやすくかつ速いエンジンと、走って楽しく乗りやすい車体、この2つを高い次元で融合。これにより150ccクラス本来の領域である、街乗りからちょい遠出までをそつなくこなせる、懐の深さを得ることができたのだと言えよう。 ヤマハ・NMAX155 価格:37万8000円 カラー:ホワイトメタリック6、マットグレーメタリック3、マットディープレッドメタリック3
「2017-2018年 最新スクーターのすべて」
モトチャンプ監修 大量試乗コメント付きスクーターバイヤーズガイド の 2017-2018年版。 スクーターを狙っている人必見の参考書! 「使い勝手リアル解剖」と称して、収納スペースの比較や燃費テスト、GPSロガーを用いた加速性能テストなど雑誌ならではの企画が目白押しです。