- 週間ランキング
以前、クローズドエリアで行われた撮影会で見た時には、各ディテールに個性際立つお目立ちのエクステリアデザインだと感じたものだが、今回街中に連れ出してみると適度に目立つが決して目立ちすぎず、それでもよく見ると他のトヨタ車にはない個性がキラリと光る。あらためて感じたのはそんな印象だ。
試乗中にもアウディやBMWのワゴンに乗っているドライバーからの視線を少なからず感じたから、それなりに目を惹いていたのだろう。
先代モデルでは2ℓと2・4ℓが用意されていたが、新型は2ℓ+7速モード付きCVTのみのワングレードが導入される。
このクラスのワゴンでは気持ち的には2・4ℓぐらいの排気量は欲しいと思うが、実際に走らせてみると2ℓで充分。というより2ℓとは思えない豊かさを感じる走りを備えていた。
発進時には滑らかなトルク感が爽快な加速感を生み出しているし、中高速域でのパワー感にも遜色なく、気持ちの良い回転フィールを伴うものだ。
このパワートレーンはヴォクシー&ノアとハード的には共通のものだが、走行フィールはかなり異なっている。クルマそのものやボディ重量、ドラポジの違いもさることながら、一番の違いはCVT制御の違いにあるようだ。
アベンシスのエンジンとCVTの統合制御は欧州仕様そのまんまのチューニングだ。端的にいうと、常に一段低いギアで待機しているといった感触。日本仕様のCVT車の場合、たとえばMTモードでシフトアップ操作を行うと、そこそこの速度域に達していればポンポンと上のギアへシフトアップしてゆく。
同じつもりでアベンシスのパドルシフトをいくら操作してもギアホールド。その傾向はタウン領域でも高速域でも同様だ。
おかげでアクセル操作に対するレスポンスが良く、走りが非常にリニアだ。たとえば微妙な速度で流れている渋滞路や、そこそこ流れはあるものの断続的な加減速が必要な首都高など、エンジンブレーキの効きの良さ、チョイ加速時のアクセルのツキの良さなどが際立ち、非常に走りやすい。
CVTにありがちな空走感やレスポンスの遅れが少ないのだ。合わせてキャビンの静粛性、乗り心地の良さともにハイレベル。さすがに欧州のフラッグシップを任されているモデルだけのことはある、というのが実感だ。
※記事の内容、価格、スペック等は2011年6月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。
※スタイルワゴン2011年9月号より