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だが、その中身はといえば燃費、環境性能をメインに大きく進化を遂げた。エンジンは直噴化するとともに吸・排気ともバルブタイミング機構を備えたツインCVTCを採用。そしてECOモーターを採用してアイドリングストップ機構を搭載しているところが大きなアピールポイントだ。その他に関しても進化・熟成を感じるところは数多い。
新型を運転してみて、まず最初に先代との明らかな違いを感じることが出来るのは前方視界の違いだ。先代に比べAピラーの付け根位置が前方に出され、上部は後方に移動したことでフロントウインドウとクォーターウインドウの面積が大幅に拡大されたことが大きな理由。
その効果は単に視界が良くなり運転のし易さを感じるだけでなく、開放感溢れるキャビンの心地良さも生み出している。このようなフロントビューの大開口感覚はKカーのタントやパレットが思い起こされるが、セレナの頭上空間は必要以上に余っている感覚がないので、より自然で受け入れやすい。
人気モデル・ハイウェイスターに乗ってタウンから高速道路までひとしきり走ってみたが、乗り心地やスタビリティに係る面でもしっかりと進化・熟成が感じられた。
先代ではタウン領域ではまずまずの走りと乗り心地を両立していたが、中・高速域、特に高速での長距離走行といったモードになるとステアフィールや足の動き、クルマの挙動など、どうも心許なく感じられる側面があった。
高速ロングドライブではユルユルと身体が揺すられるような乗り心地が少なからず快適性をスポイルしていたように思う。
新型ではそのあたりが上手く抑えられていて、全域を通じてしっかりとした接地感をキープして安定した乗り味を示してくれる。高速走行での足の動きにしても路面変化に対して動きが良くなっており、ユルユルとした心許なさが減少。同時にコーナーリング中のロール感も腰が一枚加えられたといった感触があるので安心感が高まった。
大きく開けた前方視界のせいかスピード感がなく、高速ではフト気がつくと制限速度ギリギリなんてことがしばしばだったが、もうひとつ静粛性がかなり高められたことも理由に挙げられる。エンジン回転が4000~4500rpmを超えたあたりからそれなりのエンジン音はするものの、キャビンへのダイレクトな進入音は少なく、耳障りな音質がない。
しかも燃費向上をメインとしたCVT制御のため、基本的にエンジン回転を低く保つので走行中にエンジン音が気になるシーンはまずもってなさそうだ。高速巡航では100km/h時に1800rpm程度だ。
運転を替わってもらい2列目、3列目に乗ってみたが、スペース的な余裕はもちろんのこと乗り心地は突き上げ感が少なく、静粛性も良好。逆に静かな分、2列目はサイドウインドウ周辺から、3列目はリアバンパーあたりからの風音が気になってしまうほどだ。
注目のアイドルストップは、一般的なスターターモーターを使用するのではなく、エネルギー回生機構付きオルタネーターを兼ねたECOモーターを使用してベルトを介して再始動する仕組みだ。
ギアが噛み合う音がないため再始動時は静か。また、14度の勾配まではヒルスタートアシストが働くが、ほんの微少な路面の傾斜がある場合にもアイドルストップ中は4輪にブレーキ制御が入る。これは始動時の微振動を少しでも抑えるためだ。
なるほど、そんなアイドルストップの再始動の際は、ドライバーにそうと意識させることなく、サラリとワケなく仕事を果たしているといった感触だ。これまでいくつか試乗したアイドルストップ搭載車の中でも一番の好感度かもしれない。
0・3秒という再始動時間も早く、ブレーキから足を離してアクセルを踏み込む間にタイムラグを感じない。アイドルストップ中にステアリングにちょっと力を加えれば再始動する利便性はマーチと同様。
また、停車中にTVなど見ることを考慮してPレンジのシフト位置でもアイドルストップが働くようになっているのも重宝だろう。
反面、アイドルストップに入る際の制御は若干気になる面もある。ごくごく軽いブレーキングをしながらの微低速時に完全停止するかしないかの微妙なタイミングというようなシーンでアイドルストップに入ってしまったり、入らなかったり、ドライバーの意志とすれ違ってしまうケースがたまにあった。
ただ、ある程度そういったクセというか傾向をつかんでしまえば、ドライバー側がブレーキの入れ方や停車のタイミングをコントロール出来なくもない、といってしまったら元も子もないか?!ここは素直に今後の進化を期待することにしよう。
※記事の内容、価格、スペック等は2010年11月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]