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それは「スーパーカーの客層が変わってきた」ということだ。
具体的には、「スーパーカーを購入するのは、クルマ好きではなく、セレブになった」ということである。
ただ、ボクはこれを悪いことだとは考えていない。
そういった「スーパーカー事情の変化」について、今回は触れてみたい。
まず、以前のスーパーカーと、それを取り巻く環境についてだ。
以前、スーパーカーは、文字通り「スーパーなクルマ」であり、他のクルマでは到底持ち得ない馬力や、圧倒的な最高速度を誇っていた。
だから、一定以上の速度を出そうと考えると、「必ずスーパーカーを選ぶ必要」があったわけだ。
加えて、スーパーカーをスーパーカーたらしめていたのは、その「割り切り」だ。
性能のためにすべてを犠牲にしたのがスーパーカーだと言ってよく、価格はもちろんだが、維持にかかるコスト、乗り心地、日常性など、多くを切り捨てていた。
そのため、スーパーカーを選ぶのは、スーパーカー同様に、性能のために、ほかのすべてを犠牲にしてもいいと考える「よほどのクルマ好き」であったわけだ(でないと、とうてい維持や運転などできなかった)。
だが、現代では事情がやや変わってきた。 まず、スーパーカーと同等の出力を持つ「乗用車」が多数登場したことだ。
代表的なのはメルセデス AMGだが、一部のモデルはスーパーカー以上の出力を持ち、加速性能すらスーパーカーを凌駕するものも珍しくはない。
その重量や重心の関係で、サーキットのラップタイムはスーパーカーに及ぶものではないが、「乗り心地が悪く、日常の使用に適さない」類いのスーパーカーを敬遠しており、しかし暴力的な加速を求めるユーザーにとってメルセデス AMGは最適だ。
実際のところメルセデス AMGは多くの支持を集めることになり、それに追随するかのように、アウディ、BMWも相次いでハイパワーなモデルを投入してきている。
そういった状況の中で、もはやスーパーカーは数字上の優位性はない。 馬力、加速データのみでは、ジャーマンスリーのサルーンのほうが数値に優れ、かつ価格もずっと安い。