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※ 車名とは、国産メーカーの同一車名を合算したものであり、海外生産車や教習車を含みます。
例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
2023年1〜12月の乗用車の販売台数(軽自動車を除く)は265万1397台、前年比119.3%だった。台数ではコロナ禍が始まった2020年に247万8832台/前年比87.8%と大きく減少して以来、3年振りに250万台を回復。前年比の数字は2018年以降、5年振りに大きくプラスに転じた。社会/経済情勢を始め懸念材料、不確定要素に今後どう左右されるかの予断は許さないものの、ひとまず復調の兆しが見え始めたと受け取りたいところだ。
データを見ると、各車の販売動向には心強さがあった。上位50車種中、前年比プラスの結果を残した車種が34車種を数えたからだ。同じ数字が2022年には22車種だったことからも、全体としての勢いを感じることができる。ブランド別前年比ではレクサス229.4%、トヨタ130.1%とトヨタ勢の強さが目立ったが、三菱116.0%を筆頭に他の国産ブランドも全て前年プラスという結果を残している。
車種ごとの順位では、1位のトヨタヤリス、2位のカローラは前年と変わらず、台数もヤリスが16万8557台→19万4364台、カローラが13万1548台→15万4870台に伸ばした。また前年は8位だったシエンタが3位に浮上、台数も前年の6万8922台→13万2332台と2倍に迫る勢いを見せている。
さらに上位10位圏内のトヨタ車は全8車種と強みを見せつけた形。その中でも注目されるのが年初の’23年1月発売(PHEVは3月発売)のプリウスで、順位こそ6位に留まったものの、9万9149台と前年(3万2675台)の3倍強(303.4%)の販売台数を確保した。
’22年1月の発売だったミドルクラスの安定した人気を誇るミニバンのノア/ヴォクシーも勢いをつけたようで、ノアが9万5181台(前年比:165.0%)、ヴォクシーが8万9080台(同:160.4%)と好調な売れ行きを示した。ちなみに両車を合算した台数は18万4261台であり、これは2位のカローラを上回り1位のヤリスに迫るもの。ライバル車の日産セレナ(7万5673台/11位)、ホンダステップワゴン(4万4157台/19位)を大きく引き離している。
一方で10位圏内のトヨタ車以外の車種は、4位のノート(前年比:93.1%)、10位のホンダフリード(同:97.5%)の2車。フリードは現行世代の登場は2016年9月のことで、いわゆる熟成されたモデルとしてこのクラス、セグメントの定番的な存在となった感が強く、ホンダの登録車中の最高順位に。対照的に’22年にはホンダではもう1車種、9位に食い込んでいたフィットは、’23年は15位に順位を下げ、今ひとつ実力が発揮しきれていない。
ブランドで見るとレクサスの躍進ぶりも見逃せない。23位のNX350H(2万9141台/前年比438.3%)、46位のUX250H (1万172台/同250.9%)、そして49位のRH500H(9260台/同5787.5%)の3車種がランクイン。レクサスからは昨年末にコンパクトSUVのLBXが発売されており、今後の動向が注目される。
そのほかでは、トヨタのハリアー、ランドクルーザーW、RAV4、エクストレイル、スズキジムニーワゴン(シエラ)、ZR−V、そしてマツダではCX-60、CX-30、CX-8など、SUV系の車種が安定的に一定の販売台数を上げている。
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 231,385 | 114.4 |
2 | タント | ダイハツ | 159,392 | 147.8 |
3 | スペーシア | スズキ | 122,275 | 122.0 |
4 | ムーヴ | ダイハツ | 104,557 | 110.2 |
5 | ハスラー | スズキ | 82,720 | 117.5 |
6 | ワゴンR | スズキ | 72,235 | 87.9 |
7 | ルークス | 日産 | 70,536 | 97.2 |
8 | アルト | スズキ | 67,719 | 100.8 |
9 | ミラ | ダイハツ | 64,080 | 98.1 |
10 | タフト | ダイハツ | 59,330 | 104.3 |
11 | デリカミニ/eK | 三菱 | 40,573 | 149.5 |
12 | ジムニー | スズキ | 39,910 | 96.4 |
13 | デイズ | 日産 | 38,687 | 88.2 |
14 | N-WGN | ホンダ | 37,779 | 89.2 |
15 | サクラ | 日産 | 37,140 | 169.7 |
※ 車名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
※デリカミニ/eKにeKクロス EVは合算していません
2023年1〜12月の軽乗用車の販売台数は134万1330台、前年比は109.5%とこちらも5年振りに前年を上回る数字となった。販売台数の上位15車種は別表のとおりだが、1〜4位の顔ぶれは前年(’22年)と変わらなかった。1位のホンダN-BOXは23万1385台(前年比114.4%)を記録し、軽4輪車新車販売台数では9年連続、登録車を含む新車販売台数でも2年連続首位、さらに2011年12月の発売以来の国内累計販売台数250万台も達成した。
同車は’23年10月にフルモデルチェンジを果たしたばかりで、同年11月、12月の販売台数が前年割れだったことは気にかかる。が、年が改まり、再び勢いを取り戻すであろうことはこれまでの実績からも容易に想像がつく。そのN-BOXを追うようにライバル車のスズキスペーシアも11月にモデルチェンジを実施。昨年の実績では3位に甘んじたが、今年どれだけ台数を伸ばし、N-BOXに猛攻をかけるか注目だ。
それと軽自動車ではやはり気にかかるのがダイハツ車だ。’23年の集計上では2位タント(15万9329台/前年比147.8%)、4位ムーヴ(10万4557台/同110%)の2車を筆頭に、9位のミラ(6万4080台/同98.1%)と10位のタフト(5万9330台/同104.3%)の計4車種が奇しくも前年と同順位でランクインしており、これらのデータ上では“情勢”は読み取りにくい。
が、昨年12月20日、国内外で生産中のすべてのダイハツ開発車種の出荷を一旦停止との発表があったのはご承知のとおりで、そのことが影を落とし、影響が避けられないのが現実だろう。ムーヴの新型への切り換えもタイミングが見えてこないのが実情だ。起こしてしまったこと、あったことはいずれも残念で、それらの修正は並大抵ではないはず。だが今は早期の起死回生を願うほかない。
あのコロナ禍、半導体問題の影響はもちろんまだゼロではないが、一時期に比べ、(災害に見舞われるなどしているものの)社会全体も以前の様子を取り戻しつつある。新車販売も冒頭から触れてきたように台数は上向き。そのなかでもやはりSUVは人気というより今や定着した感があり、どの車種も前年比プラスの販売台数を上げている。一方で軽自動車では、定番の車種が居並ぶ中で、新種の(?)三菱デリカミニ/eKの躍進、EVの日産サクラの健闘なども注目だった。果たして2024年の販売状況はどのような動向を示すか引き続き注視していきたい。
※記事の内容は2024年1月時点の情報で制作しています。