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ベトナムでは3列シートの2段式寝台バスが運行されています。それはそれで十分快適なのですが、さらに快適なバスが登場しました。
ベトナムではVIPバス、またはLimousine(リムジン)バスと呼ばれており、20~22席タイプとなっています。通常の寝台バスが44人乗りなので、ちょうど半分の定員です。
まるでカプセルホテルのようなとても快適な座席が特徴です。
ベトナムでは、Vexereというオンラインバス予約サイトでバスの予約が可能です。
今回は、Long Van Limousineというバスを予約しました。名前が「リムジン」で21席となっているので、カプセルホテルバスに違いありません。
22:20にホーチミン東部のバスターミナルを出て、朝5:20にバンメトートに到着するようです。
予約サイト上で座席を選ぶこともでき、決済はクレジットカードなのでベトナム語が分からなくても英語で予約を完了することができます。
今回乗車する経路は、ベトナム南部の中心都市ホーチミンから高原地帯にあるバンメトートまでの約350kmの区間で、東京〜名古屋間と同じような距離です。ベトナムは高速道路網がまだほとんどなく、この区間は一般道を走行します。
料金は、一般的な寝台バスが22万ドン前後(約1,056円)のところ、38万ドン(1,824円)と2倍弱でした。
1時間前にはバスターミナルに着いているようにと案内があったため、ちょっと早めにバスターミナルに到着しました。
ただ、ベトナムのバスでは直前に駆け込んで乗ってくる乗客も多いので、集合時間にちょっとくらい遅れても気にすることはありません。
ホーチミン東部バスターミナルは、ホーチミンから北・東方面に向かうバスが発着するバスターミナルで、100台以上のバスが同時に発着する巨大ターミナルです。
ターミナル内に入り、予約したバス会社「Long Van」のカウンターを探します。
カウンターでスマートフォンの予約完了画面を見せると、バスのチケットと引き換えてくれます。
バスの乗り場と出発時刻、バスのナンバープレートを教えてもらいバス乗り場へ。
出発の15分ほど前から乗車が開始するので、それまでにバスの前へ向かいます。
ちなみにホーチミン市のバスターミナルは驚くほどに巨大です。
DAY1~DAY11と書かれているところがバス乗り場で、各列に10台以上の大型バスが並ぶので、乗り場を探すのもひと苦労です。
各列には下の写真のように出発を待つバスがひたすら並んでいます。この写真は乗り場の1列しか映っておらず、これが何列もあるのがホーチミン市のバスターミナルです。
今回乗車するバスは「DAY1」から出発するバス。チケットを持ってバスを探し歩きます。運転士さんはベトナム語しか通じないことが多いのですが、すれ違う運転士たちが「DAY1はあっちだ!」と指を指して教えてくれます。
指定された列に着いたら、今度はチケットに書かれたバスのナンバープレートを頼りにバスを探します。
ようやく見つかりました!
フロントガラスにナンバープレートと出発時間を掲示してくれています。
ベトナムのバスでは行き先はバスの一番上に書かれていることが多く、このバスでも「B.X P.N BAN ME THUOT」「BEN XE MIEN DONG」と書かれており、バンメトート(BAN ME THUOT)と今回の出発地であるホーチミン東部バスターミナル(BEN XE MIEN DONG)をつないでいることを表しています。(ベトナム語B.XはBEN XEの略で、バスターミナルを意味しています。)
なお、このバスターミナルは2020年の高架鉄道開業に合わせて移転し、さらに大きくなるのだとか。数年後には人口が1億人に達するというベトナム。交通網も進化していきそうです。
出発15分前、バスの乗車が始まりました。
このバスに乗ることをとても楽しみにしていたため、早めに並んで一番最初に乗り込みます。
乗車時にビニール袋が配られるので、靴を脱いで袋に入れて乗車します。そのため、バスの車内はかなり清潔です。
バス車内に入ると2列シート、というか2列カプセルといった空間が広がっていました。なんだか照明も豪華です。
このバスは右側が5列×2段、左側が6列×2段の計22席で、右側の一番後ろはトイレになっています。1席は2人いる運転士の睡眠スペースに使われていました。予約時に21席となっていたのは、このためのようです。
バスは予約時に全席指定なので、チケットに書かれた席番号のところに入り込みます。
これは、完全にカプセルホテル…。
設備を見てみると、テレビ、ヘッドホン、USB充電口(2個)、ブランケット、抱き枕、水、そしてマッサージ用のリモコンが付いています。車内ではWi-Fiの利用が可能でテレビの下にWi-Fiパスワードが貼ってありました。
下の写真のボタンで、リクライニングと足元の高さを調整することができるようになっています。
マッサージ用のリモコンのPOWERを押すと、自動的にAUTOモードでシートが振動を始めました。振動中心のマッサージですが、シートのいろいろな部分が動いて体をほぐしてくれます。
英語が読めないベトナム人のおばちゃんが使い方を周りの人に聞いていて、周りの人が教えている温かい光景もありました。
最後までテレビの付け方はわかりませんでしたが、ヘッドホンを取り外してスマホに挿したらなかなかに良い音質でした。
冷房の吹出口を自由に調整できるようになっているほか、飛行機の座席のような天井照明があり、明るさも温度も自分好みにすることができます。
そして、シートは170度を超えるようなリクライニング。残念ながらフルフラットにはならないのですが、ほぼフラットで寝返りも十分打つことができます。
窓側のカーテンと通路側のカーテンをしっかりと閉めれば、完全にカプセルホテル気分です。
同型のバスが横を通った時に写真を撮ってみました。起きている乗客もいればほぼフラットな状態で寝ている乗客の姿も見えます。
快適すぎて、次からはできるだけカプセルホテルタイプのバスを選ぼうと心に決めました。安全基準の違いなどがあり難しいとは思いますが、日本にもぜひ導入して欲しいです。
途中、午前2:00頃にサービスエリアのような施設で1回の休憩をはさみます。
食堂やお土産販売、トイレがあるのは日本のサービスエリアや道の駅と変わらないのですが、雰囲気は完全にローカル。深夜なので食堂の人もまばらでした。
ベトナム語しか通じないのですが、指差しで注文できます。フォーなどの麺料理や、おかず付きのワンプレートのご飯などがあります。フードコートのようにカウンターでお金を払い、商品を受け取って自由に座って食べるスタイル。ペットボトルのドリンクやベトナムコーヒーを売っているブースもあります。
肉まんが15,000ドン(約72円)で売られていたので1ついただきました。ベトナムの肉まんは、中にうずらの卵が入っています。味は日本の肉まんにもとても近く、美味しいです。
休憩時間は30分。出発時間のアナウンスなどはベトナム語のみで行われるため、乗り遅れないように注意しましょう! 出発前には全座席揃っているかの点呼をしてから出発していました。
そしてそのまま国道を走り続けること数時間、バスは朝6:00前にバンメトートに到着しました。
予定時刻よりも30分ほど遅い到着でしたが、このくらいの前後はよくあることです。
早朝の高原地域の澄み渡った空気がとても気持ち良く、そのままちょうど開店準備をしている隣のカフェで一服してから、タクシーでホテルに向かいました。
ベトナムのカプセルホテルバスは本当に快適で、ぐっすりと眠れました。寝返りも十分打つことができて、ちょっと足がむくんだと思ったらマッサージのボタンをONにすればOK!
バスの車内とは思えないような素晴らしい空間で、夜行バスなのに朝から元気いっぱい活動することができました。
乗り場や、途中のサービスエリアはローカル感が強いですが、旅行者の方も、ぜひこの快適さを味わってみてほしいです。
※1VND=0.0048円(2019年3月現在)
(ライフデザインラボ)