「処暑(しょしょ)」は二十四節気のひとつ。その意味や時期、どのような季節なのかをわかりやすく解説し、台風の発生が多くなる時期の暮らしの注意点についてもお伝えします。


「処暑」はいつ?

2025年8月23日は二十四節気の「処暑」。
「処暑」は期間を指すこともあり、その場合は8月23日から次の二十四節気の「白露」の前日、9月6日までが「処暑」です。

「処暑」の「処」には、“とまる、とどまる”の意味があり、「処暑」は暦の上で暑さがおさまるころとされています。また、「処暑」の前の二十四節気は「立秋」で、秋の気配が立つころ。「処暑」の次の二十四節気である「白露」は、夜間の気温が下がり、草木に宿る朝露が白く見えるころという意味です。「処暑」は、暦の上で次第に秋らしく移り変わっていくころといえます。

「処暑」の日にちは毎年8月23日ごろで、日にちは太陽の動きによって決まっているため、年によって一日程度前後することがあります。
2026年の「処暑」も、8月23日です。


「処暑」はどんな季節?

朝夕の風がさわやかに
昼間はまだ残暑の厳しい日もありますが、朝夕の風にさわやかさを感じるようになります。
前線が通過したあとや台風が日本の東へ過ぎ去るときなど、北から乾いた空気が流れ込み、夜間の気温が下がることがあるからです。夏の蒸し暑い空気に慣れているせいか、少しの変化でも、朝夕に吹く風がさらっと心地よく感じられるようです。

秋の虫の声が聞こえてくる
マツムシやエンマコオロギ、スズムシなど秋の虫の声が聞こえてくるようになります。
これらのコオロギの仲間は、気温によって体温が変わることで、鳴き方が変わると言われています。まだ残暑の厳しいあいだは夜だけ鳴き、しだいに秋らしくなるとともに鳴き声は大きく、昼も夜も鳴くように。そして秋が深まるころには、ゆったりとしたテンポで鳴きます。
秋の虫が鳴きはじめる時期は、地域や年によって差があります。みなさんのお住まいの地域は、秋の虫の声が聞こえていますか? 涼しげな虫の声が聞こえてきたら、どんな風に鳴いているか、鳴き声が変化していく様子も楽しんでみてください。

<参考>
広島市江波山気象館
https://www.ebayama.jp/merumaga/20100801.html

ぶどうが旬を迎える
処暑のころの旬の食べ物は、ぶどうです。
ぶどうは、巨峰やピオーネ、シャインマスカットなどたくさんの種類あります。ぶどうは、ガンや動脈硬化予防に効果的なポリフェノールが豊富に含まれているほか、ブドウ糖や果糖などの糖質が多く含まれています。これらの糖質はそのままエネルギーになるため、夏バテや疲労回復効果があると言われています。
美味しい食べごろのぶどうは、軸が緑色で太くしっかりとしていて、実のひとつひとつに張りがあり、大きさがそろっているもの。また、ぶどうの実の皮に白い粉がついていたら新鮮なしるしです。皮を覆う白い粉は、果粉または「ブルーム」と呼ばれ、天然成分が皮の表面に浮き出たもので、病気を防いだり、鮮度を保ったりする働きがあります。

ぶどうのほか、秋の味覚の代表ともいえる、秋刀魚(さんま)が店頭に並び始めるなど、秋の食べ物を目にすることがしだいに増えていきます。食欲の秋を満喫するためにも、この時期に夏の疲れをしっかりと癒しておきたいですね。

<参考>
JA東京あおば
https://www.ja-tokyoaoba.or.jp/agriculture/products/vegetable

農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/spe1_06.html


季節のことば

処暑のころの季節のことばです。

〇新涼(しんりょう)

「新涼」とは、秋のはじめのころの涼しさのこと。夏の季語に「涼し(すずし)」がありますが、「新涼」は秋の季語です。
暑さの中、その時だけに感じられることを表す「涼し」とは区別され、「新涼」は初秋のよみがえるような新しい涼しさを表しています。朝夕のさわやかに感じられる風は、まさに「新涼」のようです。
処暑のころは、実際の季節感と暦の季節感が合わず、時候のことばや使い方に悩むことがありますが、まだ残暑の厳しい地域では、「処暑の候」より「新涼の候」のほうが実際の季節感に近いのかもしれません。

〇二百十日(にひゃくとおか)・二百二十日(にひゃくはつか)

「二百十日」とは、節分や八十八夜、半夏生などと同じ雑節のひとつで、立春から数えて210日目の毎年9月1日ごろを指します。また、立春から数えて220日目の9月11日ごろを「二百二十日」といいます。
「二百十日」と「二百二十日」は、立春から210~220日目ごろは稲の花の盛りとなるため、台風に気をつけましょうと注意をうながす意味があります。穀物が実り始め、収穫の近づく大切な時期。現代のように台風情報などなかった時代には、「二百十日」や「二百二十日」のことばが農家への戒めとなっていました。

〇野分(のわき)

「野分」とは、野の草を吹き分けるという意味で、秋から初冬にかけて吹く暴風のことです。“野の草を吹き分けて吹く風”を想像すると、その風の強さがイメージできますね。「野分」は、特に「二百十日」や「二百二十日」の前後に吹く台風による暴風を指し、昔は、台風のことを「野分」と呼んでいました。

現代でも処暑の時期は台風の発生が多くなります。
「二百十日」や「二百二十日」、「野分」は今にもつながる季節のことばです。

<参考>
三省堂
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/jikou04
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/kisetsu03

国立天文台/暦Wiki
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FBBA8C0E1A4C8A4CFA1A9.html


暮らしの注意点

台風は、8月から9月にかけて多く発生し、過去には処暑の時期に台風による災害が発生しています。

2024年8月27日~9月1日の台風10号
西日本から東日本の太平洋側を中心に大雨。九州では暴風、海上では猛烈なしけや大しけ。宮崎県で突風が複数発生。

2020年9月4日~9月7日の台風10号
南西諸島や九州を中心に暴風や大雨。長崎県野母崎で最大瞬間風速59.4メートル。

2018年9月3日~9月5日の台風21号
西日本から北日本で暴風。四国や近畿で顕著な高潮。最高潮位は大阪府大阪市で329センチメートル、兵庫県神戸市で233センチメートルなど、過去の最高潮位を超える値を観測。

2011年8月30日~9月5日の台風12号
動きの遅い台風12号により、総降水量は紀伊半島を中心に広い範囲で1000ミリを超え、一部の地域では解析雨量で2000ミリ超えるなど記録的な大雨。


処暑の時期は、台風による暴風、大雨だけでなく、秋雨前線が現れて長雨となったり、秋雨前線と台風により大雨をもたらしたりすることもあります。不安定な天候になりやすい時期なので、台風情報や最新の天気予報をこまめに確認すると良いでしょう。
tenki.jpの2週間天気などで先の予報まで確認し、早めの備えをしてください。

<参考>
国立天文台/暦Wiki
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FBBA8C0E1A4C8A4CFA1A9.html

気象庁/災害をもたらした気象事例
https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/report/index_1989.html

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 「処暑」はいつ?意味やこのころの季節感、気象からみる暮らしの注意点など解説