全国の都道府県庁所在地の中で2024年、年間降水量が最も多かったのは静岡市で3753.5 mmでしたが、年間日照時間も2246.2時間と第3位でした。静岡市は年間降水量が多いものの、年間降水日数はそこまで多い訳ではありません。年間降水日数が多い都市は日本海側が目立ち、最も少ないのは岡山市でした。


2024年の年間降水量No.1は静岡市

6月も後半に入り、日本全国雨の季節です。恵みの雨とも言いますが、中には憂鬱な思いをされている方もいると思います。今回は、降水量にまつわる様々なトピックを紹介します。

2024年の年間降水量を表した地図を見てみると、1位は静岡市の3753.5 mmでした。台風10号による大雨の影響もあり、静岡市は圧倒的な記録となりました。降水量が最も少ないのは仙台市の1027.5 mmで、1位の静岡市は47位の仙台市の3.65倍の降水量でした。


静岡市は2024年の年間日照時間も長い

2024年の年間日照時間を表した地図を見てみると、1位は高知市の2309.0時間で、なんと3位には静岡市の2246.2時間がランクインしています。高知市は年間降水量も8位の2577.0 mmと多かったです。この2つの地点は年間降水量が多いものの、年間日照時間も長いのです。


静岡市と高知市は「よく晴れるし、よく雨も降る」

静岡市と高知市でこのような天気の特徴が見られる理由は様々なのですが、この2つの地点には地形の特徴に共通点があります。

高知県も静岡県も、南側は太平洋に接していて、北側は大きな山地があります。太平洋から暖かく湿った空気が流れ込むと、その空気は北側の大きな山地にぶつかります。山地にぶつかると、暖かく湿った空気は地形によって強制的に上昇して、気温が下がり水蒸気が凝結して、一気に雨を降らせるのです。逆に、この地形によって北側からの湿った空気はブロックされるため、特に冬は雲が流れ込みにくく、よく晴れます。


岡山はなぜ「晴れの国」といわれるのか?

静岡市は年間降水量が多いですが年間日照時間も長いので「雨の国」と呼ぶのは、ちょっと違う気がします。

ここでちょっと話を変えて「岡山県はなぜ『晴れの国』といわれるのか?」についてご紹介します。岡山市の2024年の年間日照時間は全国15位の2188.7時間と、とびきり日照時間が長いわけではありません。年間降水量も38位の1459.5 mmと、とびきり降水量が少ないわけでありません。それなのに「晴れの国」というのは、何故なのでしょうか。

実は岡山県は「日照時間が長い場所No.1」「降水量が少ない場所No.1」ではなく「降水量1ミリ未満の年間日数」が多いのです。

平年値の降水量1ミリ未満の年間日数を表した地図を見てみると、岡山市は1位の276.7日で、1年の3/4以上雨が降らないという計算になります。47位の富山市は186.7日で1年の半部近くの日雨が降っているという計算になります。同じ日本でも、1位と47位でこんなに雨の日数に差があるのです。


2024年の降水量1 mm未満の年間日数No.1も岡山市

2024年の降水量1ミリ未満の年間日数を表した地図も見てみると、岡山市は279日と1位でした。こんなに雨が降らないなら「晴れの国」と言われるのも納得です。

岡山県で降水日数が少ない理由を簡単に説明しますと地形が関係しており、一般的に「瀬戸内海式気候」と呼ばれます。瀬戸内海は北に中国山地、南に四国山地が横たわり、これによって季節風が遮られます。海からの湿った空気が岡山にたどり着くときには、山地を越えるときに多量の雨や雪を降らせるので、降水日数が少なくなります。

年間降水日数が多いのは日本海側の地域が目立ち、富山市や金沢市は特に際立っています。日本海側の場合「降水」の中に雪が含まれることが多いので「雨の降る日数が多い」とはちょっと言いづらいですが、定義上降水日数が多いことになります。

「降水」一つとっても、量に注目するか日数に注目するかで結果が異なります。中々興味深いですね。

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 日本で一番雨が降る都道府県はどこ? 雨が多く降るメカニズムについても解説!