- 週間ランキング
天気予報や時候の挨拶で、「三寒四温(さんかんしおん)」という言葉を見聞きしたことはありませんか?三寒四温とは、3日間ほど寒い日が続いた後、4日間くらい暖かい日が続き、それを繰り返す天候のことを言います。
三寒四温は、歳時記などでは冬の季語として扱われており、本来は冬に使う言葉です。
ですが、最近では冬の終わりから春先にかけて使われることが多くなりました。天気予報の解説では、とくに2、3月頃にこの言葉がよく使われています。
<「三寒四温」を使った天気の解説例>
◆「関東 気温ジグザグ三寒四温 木曜まで厳寒も今週末はサクラ咲く頃の陽気 花粉に注意」(2023年2月14日)
◆「東北2週間天気 9日は雪や風が強まる恐れ 三寒四温で寒暖差や花粉に注意」(2024年3月6日)
では、その由来や使われ方が変化した経緯について、以下で詳しく見ていきましょう。
三寒四温は、もとは中国東北部や朝鮮半島で使われる冬の天候を表す言葉です。
この地域では、冬、冷たい空気を蓄えたシベリア高気圧の影響を直に受けます。このシベリア高気圧が1週間くらいの周期で強くなったり弱くなったりしながら、寒さが厳しい日と緩む日とを繰り返します。
つまり、冬の寒さにも強弱があることを表した、この土地ならではのことわざ=俚諺(りげん)だったのです。
韓国などでは、今でも冬に「三寒四温」という言葉が使われているのを見かけます。
後に日本にもこの言葉が伝わりましたが、日本の冬の場合、そこまで周期的にはこの現象が起こりません。一方で、冬の終わりから春先にかけての方が寒暖の変化を感じやすかったことから、日本の天候に合わせて、意味や使う時期が変化したと考えられています。
この三寒四温のように、言葉の意味や時期が変わった天気の言葉というのは他にもあります。例えば、もとは梅雨の晴れ間を表す言葉だったのが、5月の晴天も意味するようになった「五月晴れ」などもその一つです。
本来の三寒四温のイメージ
では、日本で冬の終わりから春先にかけて、三寒四温になるのはなぜなのでしょうか。その理由は、低気圧と高気圧が交互にやってくるためです。
季節が春へと向かう頃、日本付近の天気を左右する主な要因も変わっていきます。冬に優勢だったシベリア高気圧が次第に勢力を弱め、代わりに偏西風の影響が大きくなります。すると、大陸上で発生した低気圧と高気圧が、偏西風にのって東へと進み、日本付近にやってきます。
低気圧が通過したあとは、北からの冷たい空気が流れ込んで気温が下がります。一方、高気圧に覆われると、穏やかに晴れて暖かくなります。
こうして寒暖を繰り返しながら、次第に冬から春へと季節が移り変わっていくのです。
日本の場合の三寒四温のイメージ
こちらの図は、2024年と平年の東京の日平均気温のグラフです。2月〜3月にかけて、特に気温の上下が大きくなっています。1週間周期ではないものの、暖かい日と寒い日を繰り返す、まさに「三寒四温」となっているのがわかりますね。
実際の「三寒四温」の例(2024年東京の日平均気温)
冬の終わりから春先にかけて、三寒四温によって短期間で気温の変化が大きくなるため、特に体調管理が難しい時期です。寒暖差で体調を崩さないように注意しましょう。
暖かい日が続いたからといって薄着で出掛けてしまうと、急に寒くなって失敗したなんてことも。毎日天気予報で気温をチェックして、服装をうまくコントロールしてください。重ね着など、脱ぎ着や体温調整がしやすい服装もおすすめですよ。
また、普段から気温の変化に負けない体づくりをしておくことも大切です。決まった時間に食事や睡眠をとって規則正しい生活を心がける、バランスのとれた食事(腸の調子を整える発酵食品や食物繊維を含む食品もおすすめ)をとる、入浴や適度な運動で自律神経を整えたり代謝をあげたりするなどして、「三寒四温」を上手に乗り越えましょう。