「ラクレット」はフランスやスイスの家庭で親しまれている料理で、寒い冬の定番料理です。とろりと溶けたチーズを温かい具材に絡めて味わうこの料理は、寒い季節にピッタリの一品です。

一方、日本では冬の食卓に欠かせない「鍋料理」がありますが、実はその楽しみ方にはフランスのラクレットと多くの共通点があります。

この記事では、ラクレットの起源や楽しみ方のほか、食べたくなる気温についても取り上げます。
ラクレットを日本で楽しむヒントもお届けしますので、冬の食卓をさらに彩るアイデアを見つけてみてください!


ラクレットとは?その起源と特徴

ラクレット(Raclette)はフランスやスイスで親しまれている伝統的な料理で、名前は「削りとる」を意味するフランス語「racler」に由来します。

チーズの断面を直火で温め、溶けた部分をナイフで削いでじゃがいもやパンなどにかけて食べることからこの名前がついたとか。
この料理はアルプス地方の寒冷な気候の中で生まれ、体を温めるための食事として定着しました。

ラクレットは家庭での食事だけでなく、友人や家族と集まって楽しむホームパーティー料理としても大人気です。
各自が好きな食材にアツアツにとろけたチーズをかけて食べるだけで、チーズの濃厚さと風味を存分に楽しむことができます。
その手軽さとアットホームな雰囲気が、多くのフランス人に愛される理由です。

よく似た料理にチーズフォンデュがあります。日本ではこちらの方が馴染みがあるかもしれませんね。
チーズフォンデュは鍋でチーズを溶かし、ワインで伸ばしてニンニクなどのスパイスを加えた料理。パンや野菜などの食材を鍋の中のチーズに浸して食べます。

チーズフォンデュはチーズにワインなどが加えられているのに対し、ラクレットはチーズ100%である分、チーズ好きにはたまらない、その濃厚な味わいも魅力のひとつです。


ラクレットに必要な道具と食材

ラクレットを家庭で楽しむには、専用の電気プレート「ラクレットグリル」が欠かせません。

様々なタイプのものがありますが、どれも使い方は簡単。
よくあるのは上部に鉄板グリル、下部に取り出し可能なミニフライパンがセットされた、2段構造のものです。
上部のグリルで食材を焼いている間に、下部のフライパンに乗せたチーズを溶かします。食材が焼けたらお皿に盛りつけ、その上からあつあつに溶けたチーズをとろりとかけていただきます。
このラクレットグリルは、フランス家庭には一家に一台ある、といっても過言ではないほど広く普及しています。

用意する食材もとてもシンプルです。

まずは料理名にもなっている「ラクレットチーズ」です。コクのある風味が特徴の専用チーズで、フランスではチーズ専門店だけでなく、どこのスーパーにも置いています。

外せない具材はじゃがいも。別の鍋で茹でてホクホクの状態で用意します。
他にはハムやソーセージ、バゲット、季節の野菜など、どんな具材にもよく合うので、準備も簡単です。


フランスのラクレットと日本の鍋。食べたくなる気温は?

日本では冬といえば「鍋料理」が定番ですね。
寄せ鍋やすき焼き、キムチ鍋など、多彩なバリエーションがあるのが特徴です。

ラクレットも鍋も、寒い時期に体を温め、そのおいしさを味わえる冬の定番料理です。

フランスのあるチーズ製造者の話によると、朝の気温が3℃以下だと日中にラクレットチーズがよく売れるそうで、一般的には日中の気温が10℃以下になるとラクレットを楽しむ家庭が増えるとも言われています。[※1]
一年中ラクレットを食べる人もいますが、一般的には12月上旬(早くても11月中旬)から3月中旬までがシーズンのようです。

一方、日本では、最低気温が15°Cを下回ると鍋が食べたくなるという調査結果もあり、肌寒くなってくると鍋が恋しくなるようです。[※2]
こちらもシーズンは11月から3月頃と、どちらもまさに冬に食べたくなる食べ物ですね。

鍋料理もラクレットも、具材を変えたり、味付けを変えたりと、カスタマイズ性に富んでおり、家族や友人と囲んで楽しむ「シェア文化」を感じられる料理でもあります。

こたつで鍋を食べるという古くからの日本の風景。暖炉の前でラクレットを食べるフランスの風景。心も体も温まる、両国の冬の食文化の面白さを感じられますね。


日本でラクレットを楽しむためのヒント

最近では日本でもラクレットチーズや専用グリルが手軽に購入できるようになりました。
自宅でフランス風のラクレットパーティーを開くのもおすすめですよ。
専用グリルがあると調理しやすく便利ですが、持っていなくてもフライパンやホットプレートがあれば大丈夫です。

ラクレットチーズはチーズ専門店やスーパーで購入することもできますが、手に入らない場合は、カマンベールなど熱で溶けるタイプのチーズであれば代用することも可能です。

和風だし風味のジャガイモや野菜を使ってみたり、野菜や魚介を追加するなど、日本流にアレンジするのもおすすめです。

ラクレットは、自分の好きなように作り上げられるのが魅力なので、ぜひ自由に楽しんでみてください。

ラクレットはフランスの冬を象徴する料理であり、日本の鍋料理と共通する温かみと楽しさを持ち合わせています。

チーズが溶けるのを待ちながら会話を楽しみ、自分で作り上げるスタイルなので、事前準備も少なく、急なおもてなしにもぴったり。冬の食卓の新たな可能性を発見できるかもしれません。

この冬は家族や友人と一緒に、ラクレットでホームパーティーを楽しんでみてはいかがでしょうか?


〈出典〉
[※1]Ouest-France
https://www.ouest-france.fr/leditiondusoir/2024-10-17/la-saison-des-raclettes-est-elle-officiellement-ouverte-ou-faut-il-attendre-le-froid-d60e4dd3-e8f2-4571-935a-8d72f54780ff

[※2]tenki.jp
https://tenki.jp/suppl/kumi_okoshi/2022/10/06/31397.html

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 寒い冬を楽しむ!フランスのラクレットと日本の鍋料理の魅力