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「幻日」と書いて『げんじつ』と読みます。
幻日は、空高くにうすい雲が広がっているときに見られやすく、太陽と同じ高さの両側の位置に現れます。鮮やかに輝く様子はまさに幻の太陽です。
この現象は大気光象(大気光学現象)のひとつで、大気光象とは大気や雲、降水粒子などによって、太陽や月の光が屈折・反射・回折することで空を彩る現象のことです。
幻日は、雲を形成する氷の粒の中で太陽の光が屈折することでできます。光の波長ごとに屈折率が異なるため、虹のように色が分かれて見えます。
太陽の右側に現れる幻日は「右幻日」、左側の幻日は「左幻日」といいます。ともに色の並びは太陽側が赤、太陽と反対側が白や紫になります。
幻日が出現しやすい空の条件は、空の高い位置にうすい雲が出ているときです。
雲に厚みがある曇り空や、空気が乾いているような真っ青な空には現れません。
幻日が現れるのは太陽と同じ高さの両側です。太陽と幻日の距離は「視角度」で表されることがあり、約22度の位置です。(視角度とは、空の見かけ上の大きさを角度で表したもので、ある地平線からちょうど反対側の地平線までは180度です。)
太陽との距離を測る簡単な方法として、手を開いてまっすぐ腕をのばしたとき、親指と小指の位置が太陽と幻日の位置に大体合っています。
観察できる時間は数分~十数分程度、朝や夕方など太陽の位置があまり高くない時間に出合いやすいです。太陽高度が高い時間帯(視角度60.75度より高い位置)だと氷の粒で光の屈折が起こらず、幻日は現れません。
また、幻日が見られるときはハロ(太陽の周りに現れる光の円)や環天頂アーク(逆さ虹とも呼ばれ太陽の真上に現れる虹色の現象)など他の大気光象と同時に見られることも多いです。
幻日を見つけたら、空を広く見渡してみましょう。
幻日とよくまちがわれる大気光象のひとつに「彩雲」があります。幻日と彩雲は、色の並びや太陽との位置、出現する雲などで簡単に見分けることができます。
【幻日】
・色の並びが規則的で、太陽側が赤色、外側が白色や紫色
・太陽と同じ高さに出現し、太陽との視角度が約22度の距離に現れる
・うす雲(巻層雲)、いわし雲(巻積雲)などに現れやすい
【彩雲】
・色の並びが不規則
・太陽の近くに出現する
・わた雲(積雲)、ひつじ雲(高積雲)、いわし雲(巻積雲)などに現れやすい
雲に穴の開いた、その名も「穴あき雲」。高い空の巻積雲(いわし雲)にまれに現れる現象です。穴の周りは水(過冷却)の粒ですが、穴あき雲の中は氷の粒になっていて、その穴の中にちょうど幻日が現れることがごくまれにあります。
幻日からのびて大きな円を描いたような光の環「幻日環(げんじつかん)」と呼ばれるものもあります。
また、幻日は太陽だけでなく、夜に月の明かりでも現れることがあります。月の明かりでできる幻日を「幻月(げんげつ)」といいます。満月のように月の光が強いときに見られることがあり、とてもレアな現象です。
このように珍しい現象もありますが、幻日は現れやすい位置や条件を知っていると比較的出合いやすい現象です。
ぜひ、虹色に輝く幻日を探してみてください。