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大雨が降ると、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水、氾濫などの災害発生のリスクが高まります。特に、川の近くにお住まいの方は河川の増水や氾濫に十分な注意、警戒が必要です。増水した川に近づいて流されてしまったり大きな川が氾濫すれば、最悪な場合は、家ごと流されてしまうような深刻な被害に繋がったりすることもあります。
大雨の際は近くの川の水かさがどれくらい増してきたか、安全を確認するためにも知りたくなることと思いますが、増水した川に近づくのは危険ですので絶対に控えて、情報を基に安全な行動をとってください。
実際に危険が迫っていることを知るためには、川の水位を知り早めに避難のタイミングを知ることが非常に重要です。
「氾濫危険水位」とは、川からいつ水があふれだしてもおかしくないような危険な状況を示す水位です。これは地元の自治体が避難指示を発表する目安となる情報となります。避難指示が発表されていなくても、自ら安全な場所に避難することが必要です。
気象庁は国土交通省または都道府県と共同して、あらかじめ指定した河川(洪水予報指定河川)について、区間を決めて水位または流量を示した予報の発表を行っていて、これを「指定河川洪水予報」と呼んでいます。この指定河川洪水予報には危険度に応じて4つの種類に分かれて発表があります。発表のタイミングは以下の通りです。
⓪早期注意情報によって洪水警報の可能性が「中」や「高」(警戒レベル1)
①【氾濫注意情報】(警戒レベル2) 氾濫注意水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれる時
②【氾濫警戒情報】(警戒レベル3) 避難判断水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれる時、あるいは水位予測に基づき氾濫危険水位に達すると見込まれた時
③【氾濫危険情報】(警戒レベル4) 急激な水位上昇によりまもなく氾濫危険水位を超え、さらに水位の上昇が見込まれる時や氾濫危険水位に到達した時
④【氾濫発生情報】(警戒レベル5) 氾濫が発生した時
早期注意情報によって洪水警報の可能性が「中」や「高」と予想された場合は、警戒レベル1の段階です。この段階でも災害への心構えが必要です。
①の氾濫注意情報が発表されたら、ハザードマップを見て避難経路を確認しておきましょう。
②氾濫警戒情報が出たら、地元の自治体が避難準備・高齢者等避難開始を発表する目安となる情報です。高齢者など移動に時間がかかる方は避難情報に注意し、自ら避難の判断をしてください。
③の氾濫危険情報が発表されたら、河川が氾濫する恐れのある水位や安全に避難するために避難を開始すべき水位に達しているため、地元の自治体が避難指示を発表する目安となる情報です。必ず避難をするべき警戒レベル4相当です。たとえ避難指示が発表されていなかったとしても、自ら避難の判断をしてください。
④氾濫発生情報は災害がすでに発生していることを示し、警戒レベル5に相当します。災害がすでに発生している状況となっています。命を守るための最善の行動をとってください。
警戒レベルは洪水予報の他にも設定されています。詳細はこちらをご覧ください。
「指定河川洪水予報」の発表の対象となっているのが、「洪水予報指定河川」です。この「洪水予報指定河川」は2つ以上の都府県にわたる河川、または流域面積の大きい河川で、洪水によって重大な損害が生ずるおそれのあるものについて国土交通大臣が指定したもの、もしくはその他の流域面積が大きい河川で洪水により相当な損害を生ずるおそれがある河川として都道府県知事が指定したものがあります。
令和5年2月16日現在、
・国土交通省と共同で洪水予報を行う河川は、109水系298河川
・都道府県と共同で洪水予報を行う河川は、35都道府県66水系131河川
となっています。全国で400以上の河川が対象となっていて、都内では目黒川や荒川、多摩川、石神井川などが含まれます。
また「洪水予報指定河川」とは別に、「水位周知河川」があります。
「水位周知河川」は、国土交通大臣(または都道府県知事)が洪水予報指定河川以外の河川で、洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川です。氾濫危険水位(特別警戒水位)を定め、この水位に達したときはその旨を水位または流量を示して通知、周知しています。全国で1,500以上の河川が対象となっています。
「洪水予報指定河川」や「水位周知河川」における水位または流量の情報は、関係行政機関や都道府県、市町村へ伝達され水防活動等に利用されるほか、市町村・報道機関などを通じて地域住民の皆さんへ伝えられます。発表がある際にはすみやかに適切な防災行動をとってください。
大雨が降っていると、川がどれだけ水かさが増しているか見に行く中で災害に巻き込まれる方が後を絶えません。川の水位は、パソコンやスマホで確認ができる情報サイトがいくつかあります。便利なのが国土交通省が公開している「川の防災情報」です。自分が住んでいる地点を登録することができ、川の水位を知ることができます。
拡大すると川ごとに詳細情報を見ることができます。水位を示すマークには2種類あり、野球のベースのような五角形のものは氾濫すると深刻な被害につながる大きな川の水位です。丸に囲まれたものは、近年設置が進められている「危機管理型水位計」と呼ばれる新たな水位計です。これまでデータがなかった、小さな川や水路などが多く含まれています。
自宅もしくは職場付近の河川はどのマークなのか確認しておくと良いでしょう。川の大きさに関わらず危険度は色別で表示されます。黄色になっていたらこまめに情報を確認し、赤色になったら避難を検討するタイミングです。紫色になった時は、安全な場所に必ず避難をするべきタイミングとなります。
また、避難情報など自治体の提供情報は、テレビやラジオ、インターネットなどのほか防災行政無線や広報車などで伝えられます。
自分の家はどれくらい浸水のリスクが高いのか、まだ把握できていない方は、「ハザードマップ」で確認をすることから初めてみてください。
川は思わぬ早さで一気に増水することもあるため、穏やかな天気のうちに色々なツールを使いこなしておくといざという時に役立つはずです。
浸水深が大きくなるほど、避難が難しくなります。浸水の深さ50センチくらい、膝くらいまで水がきたら大人でも避難は困難です。浸水してからの避難はリスクが高くなるため、早めの避難を心掛けてください。特に、お年寄りや障害のある方など避難に時間のかかる方がいる場合ほど、早めの避難行動が必要です。避難時は長靴では中に水が入ってしまい、かえって危険ですので避けてください。
また、避難時に災害に巻き込まれるリスクを考えると、どうしても危険な場合は垂直避難という方法もあります。斜面から離れた部屋や、2階以上の部屋へ移動するようにしてください。
災害時用の水・食料品などの備蓄品は最低1人3日分、できれば1週間分を準備しておくと安心です。日頃から必要なものはいざという時のために、防災バッグとしてまとめておきましょう。