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虹は、太陽の光が空気中の水滴によって折れ曲がったり、反射したりすることによって色の違う光の線が見える現象で、太陽と反対側にできます。雨が降った後によく見られるアーチ形のものは虹に分類されます。
一方で、ハロ(日暈)・幻日・環水平アーク・環天頂アークは、一見虹に見えるのですが、これらは虹に分類されません。虹と異なりこれらの現象は、太陽光が雲の中に含まれる「氷の粒」に当たり、屈折することにより発生する現象で、太陽と同じ方向にできます。
また、彩雲も虹色で綺麗なのですが、こちらも虹には分類されません。彩雲は太陽の光が比較的薄い雲の粒を回り込んで進むことによって発生します。
このように同じ虹色でも、発生メカニズムが異なるのです。
手前にあるのが「主虹」で、外側にある色の薄いものは「副虹」と呼びます。この二つの虹にも発生メカニズムの違いがあります。
主虹と副虹の違いは、太陽の光の反射の回数です。主虹は空気中の水滴で1回反射されたもの、副虹は空気中の水滴で2回反射されたものです。副虹が主虹に比べて見えづらい、中々遭遇しづらいのが、反射の回数が多いためです。この反射の回数が異なることから、主虹と副虹で色の順番が逆になります。反射の回数で虹の種類が決まるので、三回反射した三次虹、四回反射した四次虹なんてものも、理論上は存在するそうです。
「ハロ」は太陽の周りにできるものです。上層の薄い雲が現れたときに、太陽の回りに光の輪として現れます。ハロが現れるときは、天気が下り坂のサインともいわれています。低気圧や前線が接近してくると、空の高い所から空気が湿ってきて薄い雲ができ、そこでハロ(日暈)が発生しやすくなるからです。
「幻日」は太陽から横に少し離れた(太陽からの視距離22°程度)ところにできるものです。朝や夕方など、太陽高度が低いとき、太陽と同じ高度で太陽の両側に現れます。
「環水平アーク」太陽の下にできるものです。日差しがある一方で空の高い所に雲がかかる日に見やすく、特に太陽高度が高い春~夏の時期、昼前後の時間帯に現れやすいです。
「環天頂アーク」は太陽の上にできるものです。太陽高度が22度前後の時に現れやすいので、見えやすい時間帯は日の出の2時間後や日の入2時間前となります。
「彩雲」は太陽の近くに薄い雲があると発生しやすくなります。太陽の光が雲の粒を回り込んで進む際、光の色によって波長が違うので、雲の粒を回り込む角度が変わります。そのため、光の色によって進行方向が変わり、色が分かれて見えるのです。
今回紹介した現象の中には、レアなものもあり、全部を生で見ることは難しいかもしれません。それにも関わらず、今回紹介した虹、虹のような現象の写真は、全て日本気象協会職員が撮影したものです。まさかの全て社内で集まりました。
天気に詳しすぎる(マニアック過ぎるともいう)人が多い日本気象協会では、こちらの写真を若手が「虹が出ていました」と共有したところ、すかさず他の職員が「これは『環水平アーク』かもしれませんね」とコメントする光景が見られました。ちなみにこの写真は指摘の通り環水平アークでした。
マニアックな集団に属する際には、今回紹介した知識を是非活用してみてください。
動画解説:植田純生