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万物を「陰」と「陽」に分けた「陰陽論」と、自然界は「木・火・土・金・水(もく・か・ど・ごん・すい)」の5元素から成り立つとする「五行説」。「土用」の考え方は、中国が発祥の「陰陽五行説」に由来します。
陰陽五行説の5元素の要素に四季を当てはめ、「木=春」「火=夏」「金=秋」「水=冬」とし、「土」を各季節への移行期間としました。土用は「土旺用事(どおうようじ)」の略で、土の気が旺(さか)んになることを意味します。土は命が最後に還るところであり、新しい命も土が育むという性質から、古い季節と新しい季節の間に「土用」をおいたといわれています。
土用は次の季節に移る変動期にあたるため、昔から慎重に過ごす期間とされてきました。農作業などの「土を動かすこと」、就職や結婚など「新しく始めること」、引越や旅行といった「場所を移動すること」など、人々はさまざまな禁忌を設けて生活してきたのです。
夏の土用が一般的に知られていますが、実際には年に4回の土用の時期があります。二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前にそれぞれ約18日間続き、「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」と呼ばれています。
土用の最初の日を「土用の入り」、土用の最後の日を「土用の明け」といい、2023年の秋土用は10月21日が土用の入りとなります。
現在は、土用の入りは太陽黄経が27度(春土用)、117度(夏土用)、207度(秋土用)、297度(冬土用)となる日として定義されます。土用の明けは立春、立夏、立秋、立冬の前日となり、土用が明けると新しい季節が始まるのです。
◆2023年の秋土用
土用の入り/10月21日
土用の明け/11月7日
辰の日/10月25日、11月6日
日本では昔から、体調を崩しやすい土用の期間に身体を労る食材を用いる「食い養生」の風習がありました。「土用の丑(うし)の日」の鰻が有名ですが、かつては夏土用の時期には、梅干し、瓜類、うどんなど「う」のつく物を食していました。
夏の疲れが出やすい秋土用は、辰の日に「た」のつく物や青い色の食べ物がよいといわれています。大根や玉ねぎ、たこ、旬を迎える秋刀魚、鯖などを食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
「土用を制するものは運を制する」といわれるように、季節の変わり目にあたる土用は、 食で体調を整えながら無理をせずに過ごす時期。心身ともにリラックスして、新しい季節を迎えたいですね。
・参考サイト
国立天文台「暦Wiki 雑節とは?」