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流れ星の数の指標としてZHR(Zenithal Hourly Rate)というものがあります。これは、理想的環境下で見える1時間あたりの流星数という意味で、理想的環境とは「雲などの観測視野を遮るものがなく、6.5等星まで見える空」「放射点が天頂にある」という環境です。
どうして「ZHR」なんて指標があるのでしょうか?
1時間あたりに見られる流星数は、色々な人が流星の観測をし、経験的に求めます。しかし、流れ星の見え方は、天気、放射点高度、空の明るさ等によって、変わってしまいます。統一するために「理想的な環境下ではどのくらい流星が見られたのか」を計算したのが「ZHR」です。
日本の場合、大気の揺らぎや標高などの関係から、よくても5.5等星までの明るさの星しか見えないことが多く、放射点も常に天頂にあるとは限りません。そのため、オリオン座流星群のZHRは15個ですが、日本で観測する場合は減って、1時間あたり最大5個程度になるだろうということになります。
ポアソン分布を用いて、流れ星に遭遇する確率を求めていきます。ポアソン分布とは「ランダムに起きる事象」がある期間に何回起こるかの確率を調べるときに用いる分布です。
1時間に5個流星が見られるとします。しかし、1時間集中して流星観測を行うことは現実的ではありません。また、流れ星は出現したとしても1秒以下です。ずっとまばたきせずに、集中して観測することは、常人には不可能です。まばたきした瞬間に、流れ星が出現することは、十分に考えられます。
ということで、まばたきも考慮して、集中して観測できる時間の限界を30分とします。30分間で、半分の2.5個流星が流れるとすると、計算した結果が図のようになります。
オレンジの棒が流れ星が丁度k個見える確率、黒線がk個以上見える確率を表しています。
1個以上見える確率は92%、2個以上見える確率は71%、3個以上見える確率は46%となります。
実際に皆さんが流れ星を見る時は、お家のベランダや、ちょっと郊外の町明かりがある所で見る方が多いでしょう。その場合は流れ星が数分の1以下になる場合があります。
1時間に流れ星が2個が流れるとし、30分間観測するとします。さらに、窓やベランダから観測するとなると、観測できる方角が半分になります。ということで、2÷2÷2=0.5、30分間に0.5個流れ星が見られるとします。
同様に計算すると、1個以上見える確率は39%、2個以上見える確率は9%、それ以降は急激に減っていますね。
ここまでご覧になってどうでしょう。「結構観られる、観られない」人それぞれ感想がありそうです。
みなさんが流星群を楽しめることを祈っております。
動画解説:植田純生、小野寺那智