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明け方の東の空に姿をあらわす「明けの明星」、日没後に西の空に輝く「宵の明星」。どちらも見える時間帯によって変わる金星の別称で、とても明るく目立つことから「一番星」として親しまれています。
明けの明星と宵の明星は、金星の運行によって周期的に交互に繰り返してあらわれるので、ふたつを同時期に見ることはできません。タイミングによっては、1~3か月ほど両方とも観測できない時期もあるのです。
2023年9月から2024年1月頃までは、明けの明星の金星が見頃となります。最大光度を迎える9月中旬はもちろん、10月から11月には日の出1時間前の高さが30度を超え、より見やすくなります。特に美しいのが、薄明の空に細い月と並ぶ光景。本格的な寒さが到来する前に、ぜひ観測したいですね。
太陽系の惑星は、地球を基準にして太陽に近い内側の軌道を回る水星と金星を「内惑星」、地球の外側の軌道を回る火星、木星、土星、天王星、海王星を「外惑星」と呼びます。惑星が地球から見て太陽と同じ方向にあることを「合」といい、このときは地球からその姿を見ることはできません。内惑星の場合は、太陽より近くを通る「内合」と、太陽を挟んで遠くを通る「外合」があります。
内合を過ぎた内惑星は、反時計回りで太陽の西側に移動します。地球からは、日の出前の東の空に姿を見ることができます。金星が「明けの明星」と呼ばれるのは、この位置にあるときです。
惑星は太陽光を反射して輝いているため、太陽に近い金星は月と同じように満ち欠けして見えます。また、地球からの距離が大きく変化するため、見かけの大きさ(視直径)も変化します。「最大光度」の頃の金星は細く欠けた形ですが、太陽の向こう側に位置する「外合」の頃に比べて約4倍も大きく見えるため、最も明るく見えるのです。
およそ1か月に1回の頻度でおこる、金星と細い月の共演。月の暗い側がうっすら見える地球照を伴った細い月と、明るく輝く金星が明け方の空に並ぶ幻想的な光景を楽しみたいですね。レグルスやスピカなど、1等星との接近も見逃せません。最接近をはさんだ前後数日間で、星空が変化していく様子も観測してみましょう。
【9月18日】
最大光度。マイナス4.5等級
※国立天文台では、19日に最大光度、マイナス4.8等級の予測
【10月上旬~中旬】
しし座の1等星レグルスと接近。最接近10日頃
【10月11日】
細い月(月齢26)と接近
【11月10日】
細い月(月齢26)と接近
【11月下旬~12月上旬】
おとめ座の1等星スピカと接近。最接近11月30日頃
【12月10日】
細い月(月齢26)と接近
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ
・参考サイト
アストロアーツ「明けの明星 金星」