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登山経験がほとんどない人ですと、そもそもなぜ登山にマナーがあるのか不思議に感じている人もいるかもしれません。山は誰のものでもありませんし、迷惑をかけなければ自由に登っていいのでは?と疑問に感じている人もいますよね。
でも現実として山にはマナーがあります。その理由はいろいろとあるのですが、基本的な考えとして下記のような理由でマナーが設けられています。
・自身の安全を確保するため
・他の登山客への配慮
・山の環境を保全するため
他にも理由はあるのですが、初心者はこの3つを頭に入れておいてください。
まず大事なのは「マナーは自分自身を守るためにある」ということです。登山はリスクが高いアクティビティであり、どんな山でも常に危険が伴います。そんな山を安全に楽しむためにマナーがあります。
もちろん、安全に楽しみたいのは自分以外の人も同じ。すべての人が登山を楽しむためには、どうしてもある程度の制限や共通認識というものが必要になります。まさにそれがマナーになるわけですが、マナーを守ることで、みんなが登山を楽しめるようになります。
また、登山客が不適切な行動をとることで、山の生態系が崩れてしまうことがあります。自然を楽しむことが登山の目的なのに、その自然を壊してしまうことになっては本末転倒ですよね。そうならないために、私たちはしっかりとマナーを身につけて、守っていく必要があります。
マナーを守ることが大切ということがわかったものの、具体的にどのようなマナーがあるのかわからないという人もいるかと思いますので、ここでは初心者が頭に入れておきたい基本となる5つのマナーをご紹介します。
●スキルに見合った山を選ぶ
まずは山選びのマナーですが、自分のスキルを冷静に判断して、無理なく登れる山を選ぶようにしてください。難易度が高い山ほど達成感もありますが、それに見合うだけのスキルがなければ、ケガや遭難するリスクが高く、多くの人に迷惑をかけることになります。
それを避けるために、無理なく登れると判断した山を選びましょう。まずは日帰りができて、登山者が多い定番の山から登るのがおすすめです。
●登山道は「登り優先」が基本
山を登るときには「登り優先」が基本的なマナーになります。理由はいくつかありますが、下り優先にすると、下にいる人に落石をしたり、転倒したときに巻き添えにしてしまうからだと考えてください。それを避けるために、下側にいる人に登ってもらい、安全になってから下るわけです。
すれ違うときには、待機する側ができるだけ山側に身を寄せるようにしてください。このとき谷側で待機すると、足を滑らせて滑落する可能性があります。山側で、すれ違うのに十分な道幅のある場所で登ってくるのを待つようにしてください。
●山でゴミを捨てない
山にゴミ箱があったとしても、山に持ち込んだゴミはすべて自分で持ち帰るようにしてください。そもそも山になかったものはすべて持ち帰るのが、環境保全の基本的な考え方になります。レジ袋などでもいいので、小さめの袋をゴミ袋として用意しておきましょう。
ゴミを捨てないためには、最初からゴミになるものを持っていかないことも大切です。食べ物はお弁当箱やボトル容器などに入れ替えて、山に持っていきましょう。また、スープや茹で汁などを捨てるのもNGです。できることなら、他の人が捨てたゴミも拾うつもりで山を登りましょう。
●すれ違う人と挨拶する
ベテランの登山者でもマナーを守れていないこともありますが、山で人とすれ違うときには、きちんと挨拶を交わすようにしてください。挨拶をすると気持ちいいというのもあるのですが、相手に覚えておいてもらうことで、遭難したときの目撃証言になります。
もちろん自分も相手のことを覚えておく必要がありますが、いずれにしても挨拶を交わすことで、それぞれの安全を守ることができます。このとき、登山アプリのYAMAPをスマートフォンにインストールしておくと、自動的に位置情報の共有ができるのでおすすめです。
●山のものを持ち帰らない
山にゴミを捨てないのと同じくらい大事なマナーが、山のものを持ち帰らないということです。難易度の高い山に登ると、山頂で記念に石や花を持って帰りたくなりますが、大抵の山では自然公園法で持ち帰りが禁止されています。
小さな石や花をひとつくらい持って帰ったところで、自然環境は変わらないと思うかもしれませんが、それをみんながやったら地形が変わってしまうことも考えられます。それを防ぐためにも、些細なものでも山から持ち帰らないようにしましょう。
ここまで山のマナーの基本をご紹介してきましたが、最後にお伝えしたいのは「マナーに縛られない」ということです。大事なのはマナーを守ることではなく、自分や他の人が登山を楽しめること、安全を確保するということです。
大事なのはその目的を達成することであり、目標を達成できるならマナーはそれほど重視しなくても構いません。たとえばすれ違うときに、自分が登山道の下側にいたとします。どう考えても自分が待ったほうがスムーズに流れるなら、「登り優先」にしなくても構いません。
マナーを重視しすぎてしまうと、本来の目的を見失ってしまいがちです。マナーはマナーとしてしっかり覚えておき、実際に山を登っているときには、本来の目的を達成するために、柔軟な対応を心掛けるようにしてください。